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2009年2月にデビューしたばかりの、チェロ弾きのボーカル率いる摩訶不思議ポップ楽団、のあのわがシーサイド・ステージに登場。ロック・イン・ジャパン初参戦だ。ちょっと珍しいバンド編成が紡ぎだす彼らを求め多くの人が集まるなか、“SPECTACLE”から幕開け。ボーカル/チェロのYukkoは、可愛らしい羽根やモチーフで飾られた白いドレスを身にまとい、透明感ある歌声でたちまち空間をのあのわ色に染め上げていく。チェロを弾かないときにボウを持ちながらステージ上を歩き回るその姿は、まるで魔法の杖を持った妖精みたいだ。続いて8月8日リリースのニュー・シングル“ループ、ループ”を披露、跳ねるビートがセンチメンタルなメロディによく似合うポップ・チューンにあわせて早くもオーディエンスは楽しそうに手拍子! 可愛らしい“カエルのうた”(かの有名な童謡じゃないです)をはさんで、アップテンポの激しいドラムで始まった“リズム”や、ピアノの調べが混沌としたアンサンブルによく映える“ハク”では、それまでのハッピーなイメージとは一点、センチメンタルで湿った世界観を演出してみせる。やっぱり彼女たち、ひきだしはまだまだたくさんありそうだ。そして最後、「演奏するたびに、元気をもらえる大切な曲です」と紹介しながらはじまったのは、デビュー・アルバムのタイトルにもなった名曲“ゆめの在りか”。キラキラとした希望に満ち溢れた曲調にのせて届くYukkoの伸びやかな歌声にあわせて、メンバーも軽やかに飛びはね、シーサイド・ステージが幸せな音で包み込まれる。この感覚、何度でも味わいたくなりそう。これからがますます楽しみになる、ドラマチックな30分だった。(小島麻未)