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白いワンピースに紫色のスカートを合わせ、ナチュラルなたたずまいで表れた初登場の星羅。そもそも彼女が注目され始めたのは、エレファントカシマシの“はじまりは今”のカバーが、サントリーの清涼飲料水“なっちゃん”のCM曲として採用されたあたりから。自身のアコースティック・ギター一本を奏でながら同曲を歌いだした彼女の、そのあまりに透明すぎる歌声に驚く。CDで聴くよりもはるかにみずみずしくて美しい! 弱冠20歳の新人離れした抜群の安定感を見せつけた彼女、「今日はとても楽しみにしていました」とにこやかに話すと、“He’s in love with her.”へと繋げる。軽く跳ねるリズムと、彼女ができた男友達を温かく見守りながらも、一抹の寂しさを感じる複雑な乙女心を綴った等身大の歌詞で、早くもオーディエンスの心がさらわれていっているのが目に見えてわかる。そして、デビュー・シングル“数字と恋”へ。サビのメロディとともに彼女に笑顔がこぼれ、シーサイド・ステージに差す光がよりいっそう輝いて見える気がした。彼女自身から発している、柔らかくも力強いエネルギーは、ポジティブすぎるのでもネガティブすぎるのでもなく、ただニュートラルに寄り添ってくれるような力を持っている。新曲“ガールズビーアンビシャス”、実体験をもとにした“わたしが君に出来ること”で早くもエンディングを迎え、星羅は何度も手を振りながら名残惜しそうにステージを去っていった。その空気は、すっかり彼女に魅了されたであろうオーディエンスにも同じように色濃く漂っていた。(小島麻未)