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今年5月、ミニ・アルバム『夕暮れ狩り』を携えて、札幌から全国進出を果たした未完成VS新世界。もちろんRIJは初出場なわけで、入念なサウンドチェックの様子から、彼らの緊張感がはっきりと見て取れて、なんとも微笑ましい。しかし、ひとたび演奏がはじまると、その華奢でいかにも文系男子な彼らから放たれるのは、その外見からは想像もできないほどアグレッシヴなロックンロール。ソリッドなギター・リフが暴れ馬のように疾走し、大きな渦となってWING TENTを呑み込んでいく。 安田(Ba&Cho)の「そうとう緊張しています!」という初々しいMCで場を和ませたあとは、澤田(Vo/G)のやわらかな歌声が際立つスロー・ナンバー“こわい話”。鋭利なギター・リフがせめぎ合うハイ・スピード・ナンバーだけでなく、こういったゆるやかなナンバーからもヒリヒリとした「青春の痛み」がダイレクトに伝わってくるのは、どこか哀愁をたたえた澤田のヴォーカルの力によるところが大きいのだと思う。最後に歌われた新曲でも、その歌声を十分に届けて幕を下ろした彼ら。とにかく、不器用なまでにまっすぐな歌がWING TENTを満たした30分間だった。 (齋藤美穂)