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数年来にわたって共同作業を続け、昨年のROCK IN JAPANでは矢野顕子featuringレイ・ハラカミとして共演も果たしたふたり。今年は正式にyanokamiという名のユニットとして登場である。デビュー・アルバム『yanokami』のリリースを8月8日に控え、どんなライヴを見せてくれるのだろうと、非常に楽しみにしていた。

昨年もそうだったが、このふたりのあいだに流れる空気が、どこまでも自然で、かなりまったりとしていて、最高である。アルバムという「形」にしたことで見えてくるものもあったのだろう。矢野のピアノの清らかな響きと、ハラカミの紡ぐ電子音の波。それがシンクロしていくときの快感は、想像以上のもの。そもそも矢野顕子は最初の一音、一声だけでその場の雰囲気をがらりと変えてしまう力をもったアーティストで、数多くのミュージシャンが彼女とのコラボレーションを望む理由もそのあたりにあるのだが、このユニットでは違う。ここでは矢野の声も、ピアノも、ハラカミの作るサウンドも、すべてが対等に鳴っている。どちらかの世界に依存するのではなく、ふたりで新しい世界を創り出すような感覚。そんなすごいことをまったく力むことなくやってしまっているこのふたり、やはりただものではない。(小川智宏)