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12時を回り、いよいよ暑さも本格化してきた。朝、空を覆っていた雲もいつのまにか消え、強烈な日差しが降り注ぐ中、SOUND OF FORESTにはAPOGEEが登場! まずは“夜間飛行”の透明なサウンドが、じりじりと熱せられた客席をしっとりクール・ダウンさせると、続く“アヒル”から、徐々に演奏は熱を帯びていく。しかし、がむしゃらに熱くなるのではなく、必ずどこか冷静で涼しげなのがこのバンド。“ゴースト・ソング”の間奏における濃密なジャム・セッションも、“Rain Rain Rain”のファンキーなギター・ワークも、音と音のあいだに心地いい空間があって、それが独特の透き通るようなグルーヴを生んでいる。もちろん永野(Vo/G)の落ち着いた声によるところも大きいが、このアンサンブルの妙こそが、APOGEEの魅力である。宇宙の果てに向けて一直線に飛び立っていって、遠い星の住人と交信するような、神秘的で何ものとも交じらない音。まるで真っ白い膜に覆われて、この灼熱の森が丸ごと異世界にトリップしてしまったような、不思議で美しい音楽体験だった。(小川智宏)