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先ほどの氣志團のオープニングSEと同じ曲……いや、さっきのはマッシュアップだったけれど、こちらは本家本元、COMPLEXの“BE MY BABY”セルフ・カバーで、吉川晃司、ROCK IN JAPANに降臨! しょっぱなから爆発的な盛り上がりで彼を迎えるオーディエンスである。黒いタンクトップに黒いパンツを合わせ、シルバーに輝く髪をビシッと整えた吉川が歌う! 踊る! あの悩ましい、腰をクネクネとうねらせる柔らかな下半身も絶好調だ。そして早くもデビュー曲“モニカ”投下。2010年のステージに鳴り響くべき、ドンピシャリのテンポとタイトなアレンジで決める。うわああ、カッコいいなあ。渋くてヌケのいいあの歌声が、GRASS STAGEのフィールドを満たし、満場のオーディエンスを揺さぶっているのである。ステージの柵に片足を乗せ、恍惚の表情を見せる吉川。シ、シビれる。しかも、ツイン・ギターのうちひとりは、エマだ。

「よろしくね」と甘い声で挨拶をすると、今度は“にくまれそうなNEW FACE”“RAIN-DANCEがきこえる”とミディアム・チューンで攻める。ベテランという立場を笑い飛ばすようなこの姿はどうだ。伸びやかな歌にも、ものすごく艶がある。「えー、(ROCK IN JAPAN総合プロデューサーの)渋谷社長から連絡です。水が足りないので、皆さん水を大事に使ってください」と業務連絡。で、自ら口に含んだペットボトルの水を上手に霧状に吹いたりしている。ここで90年代半ばのヒット・チューン“せつなさを殺せない”が披露された。パンチの効いたコーラス・フレーズを、ばっちり決めるオーディエンスもお見事。みんな若いのに、よく知ってるなあ。“アクセル”の終盤で吉川は、寝そべった状態からバッと跳ね上がってみせたり、挑発的な目線を送って舌なめずりをしたりする。うーむ、なんたる吉川。これぞ吉川。

終盤は、自らギターを掻き鳴らして歌うアッパーなロック・チューン“The Gundogs”、続けてダイナミックなバンド・グルーヴが炸裂する“BOMBERS”と、赤い升目状に光るLEDスクリーンをバックに熱いロックを畳み掛ける。そして歓喜のラストはこの曲、ホッピー神山のキラッキラなシンセがイントロで鳴り響き、本日2つ目のCOMPLEXナンバーとなる“恋をとめないで”だ! 《Don’t stop my love》のコーラスがまたもや広がる。「それじゃまたなー!」と笑顔で告げて、宙吊りにされたシンバルを鮮やかな飛びまわし蹴りで鳴らしてフィニッシュした。最っ高! どこまでも若々しいバイタリティと、観るものをひたすらに喜ばせ続ける経験値が発揮された素晴らしいステージだった。(小池宏和)