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会場の至る所に「KTM」印のTシャツやタオルを身につけたオーディエンスが目につくこの最終日、ROCK IN JAPANには3年ぶりの出演となるケツメイシがGRASS STAGEに登場だ! ステージ前に砂埃を巻き起こしながら、まずはDJ KOHNOを大歓声で迎える一面の人、人、人。そして清涼感溢れるダンスホール・レゲエ風のビートに乗って、RYOJI、RYO、大蔵の3人が姿を現す。オープニング・チューンは“はじまりの合図”だ。ステージ上のポジションを入れ替わり立ち代わりでスイッチしつつ、久々にこの3人の声がひたちなかの青い空の下に響き渡る。

華麗なダンス・ビートに和の風情を感じさせるヴォーカルの“歌謡い”から、脂のたっぷり乗ったパーティー・チューンに弾ける“三十路ボンバイエ”へと、キャリアを積み重ね、休みを取った先に活動を再開させたケツメならではの、どこか余裕すら感じさせながらも熱く盛り上がる楽曲群が届けられる。「この前が斉藤和義さんで、次が奥田民生さんでしょ。我々はスキマ産業ですから。穴が大好きなケツメイシです! どうせ昼飯ついででしょ? ごゆるりとお楽しみください」と、最新シングルの“お二人Summer”をスタートさせた。サルソウル風のメロディアスなストリングスとキーボードが彩る、甘酸っぱい大人のサマー・ブリーズ・チューンに、オーディエンスたちが視界一杯のスウェイを繰り広げていた。

そしてここからは怒涛の夏フェス仕様メドレーが!“また君に会える”“夏の思い出”“よる☆かぜ~FPM Disco Tropicana~”“サマーデイズ”“太陽”と、煽りまくるトースティングもカラフルなトラックも情感あふれるメロウな歌も、次々にハイライト・シーンだけが叩きつけられるケツメの音楽サーカスだ。自由自在にオーディエンスのヴァイブを操ってしまうこの掌握力はどうだろう。なのにRYOは、人間ドックに入った話から始まり、グダグダな下ネタMCを連発している。「RYOさんの話おもしろかった人! おおー、みんな仲間だなあ!」という大蔵のフォローとともに響いた活動再開後初のシングル“仲間”では、温かいメロディに、ケツメを見守るファンたちの思いが重なって見えた気がした。

“さくら”の後には大蔵、「すげえなひたちなか。初めてケツメイシ見る人も知ってるフリして、いつもより大騒ぎしてください。3日目ってことは、今日で終わりでしょ!」と、最強のダンス・ナンバー“カーニバル”になだれ込んでいった。オーディエンスのタオル回しが目に鮮やかだ。久々の登場でも、さすがの横綱相撲というべきケツメのパフォーマンスであった。(小池宏和)