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涼しい風が吹いて、空がうっすらとピンクに染まりはじめ、GRASS STAGEもいよいよ終盤。会場はたくさんのオーディエンスで埋め尽くされて、YUKIの登場を今か、今かと待ち受けている。 そして、マジックタイムと呼べそうな透明感のある夕暮れ空のもと、まるでファンタジー映画から抜け出てきたような、ファンシーなミニドレス姿の、YUKIが登場! いつにもまして、女の子たちからの歓声が大きくこだまする。「みんな、いっしょに踊ってね!」、そういって一曲目に披露されたのは、“JOY”。ミュージック・ビデオでもおなじみの、ちょっぴりシュールなダンスをしながら、軽やかに歌うYUKI。その姿に見とれながらも、徐々に振り付けの輪が広がっていく。 「ひたちなか~」と、遠くを眺めるようなしぐさをして、手を振ったり、歓声に応えて、くるくるとドレスを見せるように回ってくれたり、とてもフレンドリー。でも、その音楽は途方もなくでっかくて、あたたかくて、たっぷりと詰まったハッピーや愛が心のくすみをぬぐってくれる。今この目に見える世界を、そのまま輝かせてくれるようなパワーがある。フェス後にはニュー・アルバム『megaphonic』がリリースされる。最高の音、を意味するこのアルバムはまさに、シンプルに、でも力強く、彼女のパワーを伝える作品になっている。このアルバムから、“勇敢なヴァニラアイスクリーム”、“揺れるスカート”、“鳴いてる怪獣”、ギターを抱えロッキンに歌う“Wild Ladies”、そして「去年もこのフェスに出させてもらいましたが、今年もこのステージに立てて幸せ」と、“Hello!”が歌われる。いろいろな想いを込めたと語るこの曲を、去年と同じこのステージで、変わりないたくさんの笑顔の前で歌うこと――それは当たり前のようでいて、しかしやっぱり特別なことなんだろう。何気ない、Helloという単語、挨拶のなかにYUKIが詰め込んだ気持ちは、ずっしりと重たくてほっこりとあたたかかった。歌声が吸い込まれて、暮れていく空が一面、幸福色に染まっていくさまは、とても素敵だった。(吉羽さおり)