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さあ、すっかり陽も落ちてROCK IN JAPAN FES.2011の2日目も大詰め。WING TENTのトリを務めるのは、9月21日に初のフル・アルバム『relight』をリリースすることが決定しているandropだ! 暗転したステージに幻想的なエレクトロニック・サウンドが響き渡り、淡いブルーの照明が揺れる。満場のオーディエンスによるハンド・クラップと高揚した歓声の中に、4人のバンド・メンバーが登場した。未だプロフィールすら公開されていないという匿名性の高いバンドながら、リスナーと音楽で繋がるその絆は既に並々ならぬものがある。「ロック・イン・ジャパーン! 最後! 楽しもう!」という言葉を合図に、疾走感溢れるギター・サウンドで“Glider”から演奏スタートである。続いては跳ね上がるベース・ラインによって幕を開け、複雑にこんがらがった心象を潜り抜けながら、解放されるように豊かなコーラスに辿り着く“Colorful”。更には寓話的な歌詞を用い、器用に歌唱法をスイッチしながら感情の蠢きを鮮やかに描き出してゆく“Nam(a)e”だ。 andropの優れたソング・ライティングが序盤からビシビシと浴びせかけられる。
猛り狂うようなベース・ソロから、ナイーブでありつつも強い意志の形を綴った歌へと跳躍する“Amanojaku”。アクロバティックなバンド・アンサンブルで転がる“Alpha”と、中盤は今年2月にリリースされ、印象的なパッケージ・デザインも話題になったアルバム『door』からの楽曲群をプレイしていく。
「改めまして、andropです! 初めてのロック・イン・ジャパン、出ることが出来て嬉しいです! 最後まで残ってくれてありがとう! 僕ら一所懸命、このフェスを最後まで楽しむんで!」というMCを挟み、“Youth”や“Te To Te”といった楽曲ではエモーショナルなサウンドと美しく求心力の高いメロディによってオーディエンスの一人一人に思いの形をしっかり伝えてゆく。“Roots”を経て、本編の最後を飾るのは『door』の冒頭に置かれていた“MirrorDance”だ。ステージに立つその意味に、我々が踊るその真意にタッチしようとする歓喜のナンバーである。鳴り止まないアンコールの催促に、メンバー4人が再登場して一列に並び挨拶する。「あの、また、ツアーで会いましょう! ありがとうございました!」。短いスパンで優れた作品を次々に発表してきたandropであるだけに、来るフル・アルバムも楽しみだ。多くのオーディエンスとWING TENTに大輪を咲かせた今夜のステージからも明らかなように、状況はもう大きく転がり始めている。(小池宏和)