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ここで空は雨模様となってしまったのだが、ドリーミーなSEに乗って登場したandropの4人が景気良く音出しを一発繰り出すなり、大歓声を上げて迎えるLAKE STAGEのオーディエンスたち。「みんな、跳ねる準備は出来てますか!?」という内澤崇仁(Vo/G)の言葉を合図に、前田恭介(B)の高速ベース・フレーズが着火する“Boohoo”からパフォーマンスがスタートだ。繊細な詩情に満ちながら、緻密な設計と技術でそのロック・ソングの数々を組み上げて確かな高揚感とフィジカルな体験へと昇華してゆく彼らは、“Roots”そして“Bell”と、オーディエンスの息遣いを確かめるような頼もしささえ窺わせてステージを進めてゆく。命を持ったマシーンのように正確、かつ生々しく刻まれる伊藤彬彦(Dr)も、煌びやかなシンセ・フレーズも、すべてはこの唯一無二の体験のための重要な要素だ。

“Colorful”の大らかであたたかいコーラスが眩い照明に後押しされながらオーディエンスを包み込み、「みんなで雨を吹き飛ばそうぜ!」という言葉に続いて響き渡るイントロは“World.Words.Lights.”だ。確かな演奏技術を持つバンドであるにもかかわらず、ときには簡単にそれを投げ打ってテクノロジーを利用するような感性がとても現代的で面白い。もちろんそこから立ち上がってくる生演奏が高揚感に拍車をかけてくれるわけだが、佐藤拓也(G/key)の夢見心地なシンセ・フレーズと、たなびくキャッチーなコーラスが渾然一体となって夕暮れに映えるさまは何とも美しい。

「音楽って、みんなで共有することが出来るのが一番すごいところだって思っていて。あと、人ね。音楽の力と、聴く人の力を信じて、この曲を作りました(内澤)」「みんなの歌と、俺らの演奏が一緒になって初めて完成する曲だと思っています(佐藤)」と、念入りにオーディエンスの発声練習を敢行してから届けられるのは、8/21にリリース予定となっているニュー・シングル曲“Voice”だ。まるでサッカー場にこだまするチャントのようなコーラスが立ち上がる、andropの楽曲としても極めて大きなスケール感を持つナンバーだった。「この歌は、ここにいる一人一人の歌です!」と内澤。そして辿り着いた“MirrorDance”は、これまでより一回りも二回りも強い輝きを獲得している気がした。人々が何かを共有し、一瞬でも同じ思いを分かち合うということは、それだけで奇跡的なことなのだと、実感するステージであった。(小池宏和)






この3日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」は9月上旬発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。
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【androp】過去の ROCK IN JAPAN FESTIVAL クイックレポート