平井堅、GRASS STAGEに実に7年ぶりに帰還! ハットをかぶり、長いストールをまとって悠然と登場した平井堅の姿に、広大なフィールドから沸き上がる大歓声! そして、アコースティック・ギター&ピアニカのシンプルなアレンジとともに歌い始めた1曲目は“楽園”! その唯一無二の歌声一発で、オーディエンスの心をがっちり支配してみせる。当代きっての『歌バカ』として『JAPANESE SINGER』のスタンダードとなった彼の真骨頂が、いきなり最大限に発揮された瞬間だ。「こんにちは平井堅です! 私、7年ぶりに出さしていただいております。ロックとはかけ離れた音楽をやっておりますが……何より私自身がアウェイ感をいちばん強く感じておりますので(笑)。死に物狂いで歌いたいと思います。みなさんの耳を、心を、平井堅に預けてくれるかな!」のコールに、熱い拍手が沸き上がる。
「熱いバンドが多い中、お葬式のような感じでお届けしていこうかと思いますが……」と冗談めかしつつ、「親が子供を思う気持ちを書いた歌を聴いてください」と“桔梗が丘”の珠玉のメロディを切々と歌い上げていく彼の声に、GRASS STAGEの観客は魔法にかけられたように身動きも忘れて聴き入っている。さらに、生ピアノの伴奏とともに広がる“LIFE is...”のメロディが、心の奥底まで深く、優しく染み渡っていく。静かな感激に満ちたフィールドの空気を、「飼っているメダカの水槽の温度が猛暑で上がってしまったので、水温を下げようと思って氷を入れたらメダカが即死してしまった話」でかき混ぜてみせつつ、今度はピアノ/アコギ/ウッドベース/パーカッションというアンプラグド編成での“告白”で豊潤なグルーヴを聴かせてみせる。続けて“キミはともだち”の軽快な歌が、風のように涼やかに夏空を吹き抜けていく。そして、平井堅がアカペラで歌い始めたのは“POP STAR”! 高らかなクラップが沸き上がる中、椅子に座ったままで朗々と歌い上げているはずの彼の歌声が、爽快な疾走感とともにGRASS STAGEをポップの彼方へとドライヴさせていく。バンドの熱演に身を任せて立ち上がり、フィールド中のあちらこちらを真っ直ぐに指差しながら、目映い歌声を放っていく。ひとりゴスペルのような迫力とスケール感をもった“Love Love Love”の歌を空を貫かんばかりに高く伸び上がらせながら、ステージの袖の端から端まで歩き回り、高々と拳を掲げて、会場の隅々のオーディエンスにまこの瞬間の充実感をアピールしていく。
バンド・メンバーがステージを去った後、ひとりピアノの前に座る平井堅。「この後は豪華な方々が続きますので(笑)。今日はほんと楽しかったです!」という言葉とともに、ピアノ弾き語りで歌い始めたのは“half of me”……癒しようのない心の痛みを珠玉のメロディに重ねた名曲が、さらなる感動を巻き起こして――終了。日本が誇るべき最高のシンガーの、最高の歌が、この場所で確かに響いていた。(高橋智樹)
この3日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」は9月上旬発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。
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