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通り雨が去って涼しい風が吹き込みはじめたDJ BOOTH。そこに舞い降りたのは、今年6月にメジャーデビューEPをリリースした注目のラッパー、SALU。まずは“Rebirth”“Stand Hard”の1サビだけ披露して、初めて立つ舞台の感触を確かめるように丹念に言葉を紡いでいく。「調子どう? 今日の予定にここを組み込んでくれた皆さんに感謝しよう。我が『ONE YEAR WAR』から俺の兄ちゃんを呼んでるよ」とレーベルメイトのAKLOを招いて“HEAT OVER HERE”へ突入すると、ブリブリと腹に響くエレクトロ・ビートに乗って一触即発のフロウリレーを展開。《俺の周りはBurn 常に灼熱》とダミ声よろしく放たれるリリックは、聴く者の胸をひりひりと焦げ付かせてしまうほどの高い熱量と鋭さを持っていた。

即興でのフリースタイル・ラップと“THE GIRL ON A BOARD”で爽快な風を吹かせたところで、「ちょっとだけ真面目な話をしてもいいですか?」と口を開くSALU。時折照れ笑いを浮かべながらも実直な語り口で、自分が10代後半にホームレスだったこと、それによって友達を失い絶望の淵に落とされていたこと、そこから這い上がる為の答えは結局自分の中にしかなかったこと――などを告げていく。そして「そんな人生の歌を書きました」と“In My Life”へ。《2秒先の事だって解らない》《二度はない人生》などシンプルながら説得力を持ったリリックが、壮絶な経験を積んだ彼だからこそ放てる圧倒的なリアリティでもって胸に迫ってくる。曲の終盤ではRIP SLYMEのPESもゲスト参加してフロアをアジテート。PESが去って迎えたラスト“I Gotta Go”では、メロディアスかつカラフルな音像でフロアのハンドウェーブを導いて終了。

不器用ながらも世界と、音楽と、リスナーと向き合おうとするSALUの姿勢が見て取れたステージ。その真摯な思いがDJ BOOTHにいた人には確実に伝わっただろうし、今後もっともっと多くの人に触れてほしい。そう強く願いたくなるような、心に沁みるアクトだった。(齋藤美穂)






この3日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」は9月上旬発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。
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【SALU】過去の ROCK IN JAPAN FESTIVAL クイックレポート