雨の上がりかけたGRASS STAGEに鳴り渡る、歓喜と躍動感の高純度結晶のような“All right part2”のアンサンブル! 2日目のトリ前に登場したASIAN KUNG-FU GENERATIONは、昨年の『ランドマーク』ツアー時と同じく後藤正文/喜多建介/山田貴洋/伊地知潔の4人に上田禎(G・Key)、三原重夫(Per)、岩崎愛(Cho)を加えた7人編成でオン・ステージ。“それでは、また明日”の切迫したメロディと言葉が、7人のアンサンブルと一丸となってダイナミックなサウンドスケープを描き出し、オーディエンスをでっかく揺さぶっていく。「こんばんはASIAN KUNG-FU GENERATIONです! みんな自由に踊ってね!」というコールから“ブルートレイン”へ。キヨシ×三原のリズム・バトルのような展開も含め、この7人での表現が、アジカン4人編成でのソリッドさとはまた違ったスケールの音世界を鳴らす表現として血肉化されていることがよくわかる。 そして“新世紀のラブソング”――「新世紀」はまだ始まってすらいない、自分たちの手で新しい時代を拓いていく、とかつてゴッチが掲げたシビアな認識が、至上のメロディ&豊潤なアンサンブル一丸となって、確かな手応えをもった「今」のメッセージとして、GRASS STAGEの隅々まで広がっていく。力強いセッションから流れ込んだのは“マーチングバンド”。《光れ 言葉よ それが魂だろう 闇を照らしてどこまでも 行け》というサビのフレーズが、ひときわ深く、優しく、心の奥に染み渡ってくる。
「みんな、雨の中ありがとうございます」と満場の観客に語りかけるゴッチ。「2年前の『ROCK IN JAPAN』、あれ金曜日だったかな? 最後にやらしてもらって。その時もたくさんの人が集まってくれて。あの当時は2年前、2011年で、すげえ俺たちも戸惑ってて。MCとかでも『こうやって音楽にたくさんの人が集ってることは希望だと思ってる』って言ってたし、今回もそう思うんだけど……どう? みんなの周りで、良くなってると思うことってある?」と、一言一言じっくり語りかけていく。「俺は、暗い気持ちになることが多くて。それは2年前よりも、一発一発がずっしりずっしり、ボディブローってこんな感じだろうなっていうのがあるんだけど。だけど、音楽が鳴ってる場所に来ると、すごく勇気をもらえるっていうか」。さらに「自分が音楽が好きだとか、そこに集まってくれる仲間が好きだとかいう想いが、クソみたいに思ってる現実を侵食していければいいと思ってる」と赤裸々な想いを語るゴッチの言葉に、数万人のオーディエンスがじっと聞き入っていく。
「メンバー紹介しようと思ったけど、曲行きます!」というゴッチの言葉に導かれて、“ループ&ループ”そして“リライト”炸裂! 広大なフィールドが歓喜のジャンプに大きく揺れ、高らかなコール&レスポンスが、熱気あふれるGRASS STAGEをさらに熱くしていく。さらに“君という花”! ダイナミックなポップ感がこの上なくピースフルな色彩感をもって響き、無上の高揚感を生み出していく。最後は最新シングル曲“今を生きて”。弾み回るビートとともに、ゴッチ/喜多/山田/岩崎のハーモニーが、7人の奏でる音が、数万人の想いと一緒に一歩一歩、確実に高揚の頂へと駆け上がっていく――僕らが前を向いて生きるための、鼓動としてのロックンロールを、アジカンは確かに届けてくれた。2日目もいよいよあと1組!(高橋智樹)
この3日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」は9月上旬発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。
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