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意外にもROCK IN JAPANでトリを飾るのは初めてのASIAN KUNG-FU GENERATIONだが、今年も自らの洋邦ロック・フェス『NANO-MUGEN FES. 2011』を大成功させた彼ら、満を持して1日目ヘッドライナーとして登場である。静謐な電子音SEと同期してステージ左右のヴィジョンに浮かび上がる「HOPE」「MUSIC」「LOVE」「LIFE」の文字。マシン・ビートに合わせてGRASS STAGE一面に沸き上がるクラップ……の中、キヨシが、喜多が、山田が、そしてゴッチが登場すると、クラップにうおおおっ!という歓声が混じり、大きなうねりとなって広がっていく。静寂を切り裂く1曲目は“リライト”! イントロが鳴った瞬間に、5万人のジャンプでひたちなかの大地が大きく揺れる。そんな熱気をさらに煽るように、夜空を貫くように熱唱し、アンプの上に立ち上がり、GRASS STAGEをでっかいシンガロングで埋め尽くしていくゴッチ。そのまま“Re:Re:”のタイトなビートが走り出す頃には、この場所のすべてがアジカンの舞台装置であるかのような強烈な一体感が生まれている。さらにそこから息つく間もなく“マジックディスク”の、ゴッチの眼鏡も宙に舞うほどの熱演! “ループ&ループ”の力強いビートで夜のフィールドを巨大なダンス・フロアに変えてみせた図は爽快そのものだったし、文字通りひとりひとりの孤独に優しく寄り添うような喜多のアルペジオから“君の街まで”の目映いメロディへと流れ込んだ時には抑えようもなく胸が熱くなった。さらに1stアルバムから“フラッシュバック”“未来の破片”、そして“ソラニン”!……と新旧ナンバーを織り重ねながら、最高にダイナミックな「今」のアジカンの世界を描き出していく。 「この3日間、すごくいい音楽が、たくさんのステージで鳴ると思います。みんな、心のエネルギーにして、それぞれの生活に持って帰ってね!」とゴッチ。震災とその後の日本の混沌を前に、『NANO-MUGEN』を開催すべきか否か迷い悩み、「音楽にできることは何か」という命題と向き合い、それでもオーガナイザーとして前進することを選んだゴッチ。自らが編集長を務める新聞『The Future Times』を創刊し、今まで以上に時代に積極的にコミットすることを決意したゴッチ。そんなさまざまな顔が、ごく短いMCからも滲み出してくる。“センスレス”“アンダースタンド”“君という花”……座標なき00年代日本のロック・シーンに、揺るぎなきギター・ロックの軸を打ち立てたアジカンの軌跡が、エモーショナルな楽曲の形でひたちなかの空に弾けていく。そんな感動的な光景に、すっかり陽の落ちたGRASS STAGEに巻き起こるシンガロングとジャンプは強くなる一方だ。 本編を“転がる岩、君に朝が降る”で締め括った4人。鳴り止まないアンコールの中、ヴィジョンに映し出される「NO NUKES」「CAUTION」「THINK」の文字。やがて、再びステージに現れた彼らが披露したラスト・ナンバーは“新世紀のラブソング”だった。《本当のことは誰も知らない/あなたのすべてを僕は知らない/それでも僕らは愛と呼んで/不確かな想いを愛と呼んだんだ》……音楽の、ロックの核心を言い当てた黙示録的なフレーズが、ロック・フェスという場で、何よりダイレクトな「今」へのメッセージとして響き渡っていた。「未来について考えよう」……あまりにシンプルな、しかし真摯で切実な言葉をヴィジョンに残して、ROCK IN JAPAN FES. 2011・1日目、圧巻のフィナーレ!(高橋智樹)