「ウォ!ウォ!」という野性的な雄叫びとともに、女性ダンサーふたりを従えてステージに颯爽と姿を現したlecca。女性ヴォーカルがステージに登場する瞬間というのはいつもパッとステージが華やぐものだが、leccaの場合はそれに加えて彼女が放つ強いエネルギーに空気が一変するようなしなやかなオーラに驚く。実はROCK IN JAPAN FESTIVALは初登場。音楽的にも、そしてleccaという人が持つ真夏の太陽のような牽引力のある存在感にしても、これだけ夏の野外が似合うアーティストでありながら意外な感じがした。
途中のMCでは、この時間はGRASS STAGEで平井堅が出演しているということで、自分のステージに集まってくれたお客さんに「どれだけみんなドMですの!」と冗談を言いながらも、「今日は(レコード会社のスタッフから)バラード禁止令が出ました。最後までぶちかましていきます!」と気合いを見せた。その宣言どおり今日のleccaは攻めのアッパーチューンのみで勝負をかける。
オープニングは“Jammin' the Empire”にはじまり一気に4曲をメドレー。「三十路はどのぐらいいますか?30代の女の子ー?」とお客さんに問いかけ、「負けるな30歳!」「関係ない!関係ない!」と女子の密かな悩みも明るく笑い飛ばす“ミソ-gal”、タオル回しで会場に色鮮やかな花を咲かせた“a~i!”、ヒット曲“紅空”で何度も繰り返したコール&レスポンス。世間の大多数が当然のごとく振りかざす価値観にNOを主張して、自分らしい生き方を提案し続けるleccaの想いがどの曲にも宿っている。
メドレーが終わると、「まわりが何と言おうと大事なものは自分」と語りかけながら始まった“My measure”、そして「今から20年も30年も経ったら、今の自分なんてひよっこです。まだまだ知らないことがいっぱいある。まだまだ楽しめる。まだまだ力がある。それを忘れないで」と訴えてつないだ新曲“SOLA”へ。今まさにこの瞬間のために生まれたような夏にぴったりのエネルギッシュな1曲だった。
そして予告どおりのバラードゼロのまま、あっという間にラストナンバー。「ダメな時にそこでやめたら、その記憶だけで終わってしまう。ダメなところでやめないで、あきらめないで」と語りかけてから、“ちから”。時おり強くこぶしを握りながら歌うその姿がとても眩しかった。そして最後まで素敵な笑顔を絶やすことなく、「来年メインステージで出てくるから、よろしくー!」と軽やかに去って行ったlecca。彼女の歌はステージから彼女の姿が消えた後も、こうして心の深いところにしっかりと残っている。(秦理絵)
この3日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」は9月上旬発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。
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