ROCK IN JAPAN FESTIVALには4年ぶりとなる登場、晴れた空の下に祝祭感たっぷりの華やかなポップ・ワールドを生み出してしまう、the chef cooks meのパフォーマンスがスタートだ。イイジマタクヤ(Dr)の4カウントから切り出されるのは“WEEKEND MAGIC NUMBERS”。ホーン・セクションやコーラス隊のサポート・メンバーも含めた大所帯バンドに、間の手を入れるようなオーディエンスのハンド・クラップも加わって、爽やかでありながら力強いサウンドが出来上がっていく。「座って、座って。音楽はさ、飛び跳ねたり、ヘッドバンギングするだけじゃないんだよ」とシモリョーこと下村亮介(Vo/Key/Per)の言葉を合図に、ステージ上の面々もオーディエンスも腰を落とし、アンサンブルの沸々とした盛り上がりに合わせて立ち上がる、そんな光景も生み出してくれる。
ファンキーにして豊穣なアンサンブルの“四季に歌えば”が日常のリアルを映し出しながら触れる者を心地良く踊らせ、指揮者のような身振りで演奏を締め括ったシモリョーが挨拶&メンバー紹介をする。「下北沢で出会った仲間たちです」と誇るように語ると、コーラス隊の美しい歌声に導かれて鳴り響くのは“ケセラセラ”だ。本当に、力むでも凄むでもないのだけれど、大きなエネルギーをもたらす音楽の力が引き出されている。9/4にリリース予定のニュー・アルバム『回転体』からの楽曲群が続き、“パスカル&エレクトス”ではアップテンポなリズムの中、佐藤ニーチェ(G)のギターとホーン・セクション、キーボードのフレーズが、火花を散らすようなデッド・ヒートを繰り広げるのだった。
ここでシモリョー、「30秒で分かるthe chef cooks me」ということで、結成からメンバー脱退のいきさつ、もうバンドをやめようかな、と思っていたところに後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)が手を差し伸べてくれたこと、一念発起して曲を作り、新作の完成に至ったことを語った。そして新作のプロデューサーとして活躍したゴッチとレーベル・メイトの岩崎愛がゲストとして招かれ、“環状線は僕らをのせて”が披露される。うっすらと気だるさを乗せたラップがリレーする、美しいナンバーだ。クライマックスには華々しいバンド・サウンドを目一杯スパークさせる“適当な闇”と“Song of sick”。その間にシモリョーは、「俺が思ったのは、ダメかも知れないけどやる、ってこと。すごい嬉しかった」と語っていた。短い時間のステージだけれど、彼らの人生の一部に触れた、そんな確かな手応えを味わうライヴであった。(小池宏和)
この3日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」は9月上旬発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。
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