LAKE STAGEのエリアに、パフォーマンスがスタートしてからも次から次へとオーディエンスが足を踏み入れてくる。今のクリープハイプの破竹の勢いと、圧倒的な支持の大きさを物語るような光景だ。それを目の当たりにしてもなお、バンドの4人は浮き足立つことなく、このエリアに風を呼び込むようなロック・サウンドを放ち、いつもの尾崎世界観(Vo/G)の少年性を宿した、か細いようなのに驚くほど良く通る歌声による“おやすみ泣き声、さよなら歌姫”でステージをスタートさせる。状況の変化を真っすぐに受け止め、過剰も不足もなく、ただし「ヒット曲どんどんいきますよ」と不敵な自信に満ちながら、小川幸慈(G)のクリアなギター・フレーズが浮かび上がる“オレンジ”へと繋げていく。そして尾崎、「昨日さあ、Mステで歌詞間違えたのは、何のせいだ? 何のせいだ? 先に言うな!」と“ラブホテル”の《夏のせい》の歌い出しに引っ掛ける。昨日の出来事も、こんなふうに飄々と気の利いたやり方でネタにしてしまうのだから、頼もしい限りである。
長谷川カオナシ(Ba)&小泉拓(Dr)の、歌心をきっちりと分かち合った盤石なリズム・セクションにエモーショナルな歌が絡み合い、“憂、燦々”では(それまでもずっと辺り一面でジャンプが繰り返されていたのだけれど)更に高いジャンプが繰り広げられて、目の前にはまるで荒海のような光景が広がっている。「いや、こんなに集まってくれてありがとうございます。あ、CM曲終わったら帰る人がいる」と目ざとく見つける尾崎。「イケメンとデュエットします」と長谷川と歌う“グレーマンのせいにする”を経ての“HE IS MINE”の途中では、「ちょっと待って。みんな聞いて。これを楽しみにして来たのかも知れないけどさ、今、裏で平井堅さんがやってるから、バラードの邪魔しちゃ悪いから、今日は我慢して。絶対にやるなよ?」と断ってからの、お約束感で盛大に沸き上がる《セックスしよう》コールである。。
そして“ウワノソラ”以降の終盤になってからは尾崎のマシンガン・スポークンワーズなフレーズが火を吹き、“身も蓋もない水槽”、“社会の窓”とヴォルテージを上げっぱなしのままパフォーマンスをフィニッシュ。自分たちのやり方で凄い盛り上がりを生み出してくれたクリープハイプだった。(小池宏和)
この3日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」は9月上旬発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。
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