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SOUND OF FORESTを揺らす強靭なエレクトロニック・ビート。視界いっぱいに打ち鳴らされるオーディエンスのハンドクラップに導かれるようにして、ムック、ROCK IN JAPANに初見参だ! ヴィヴィッドな赤黒の衣装で目を奪う逹瑯(Vo)は、足を高く蹴り上げ、雄叫びを上げながら、まずは夏の甘美な堕落の中へと誘うダンス・チューン“フォーリングダウン”を歌う。爽やかな森の空気を一変させる、このバンドの存在感はどうだ。「アー・ユー・レディ!? マザーファッカー!!」と逹瑯がオーディエンスを焚きつけ、SATOち(Dr)による圧巻のブラスト・ビートが打ち鳴らされる“咆哮”を続いて披露。フィールドからも《オーオーオー》と熱いコーラスが放たれる。そして2007年に発表されたシングル“ファズ”へ。近年のエレクトロ・ダンスビートを交えたムックのバンド・アンサンブルの破壊力は実に凄まじい。逹瑯はその分厚い音の中でサイレンのようなハーモニカも吹き鳴らし、「お前らバカかー! 俺たちが一番バカだー! よろしくー!」と最高の扇動者としてステージに立っている。そんな彼の直後のMC、「初めましての人もいると思いますが、ムックです! まあこんな、化粧しているバンドですが、見てください(と、真紅のジャケットを脱ぐ)! ワキ毛も生えてまーす!」。オーディエンスの爆笑の中でプレイされるのは、キャッチーなメロディーと豊かな展開で聴かせる、こちらもシングル曲の“謡声(ウタゴエ)”だ。またもやオーディエンスを巻き込んでゆくドデカいスケールのコーラス。そして、今回のセット・リストの中では一際長きにわたってムックのライヴ・パフォーマンスを支えてきた定番ナンバー“蘭鋳”である。演奏中「遊ぼうかー! 全員、座って!」と逹瑯が告げて、一様に身を低く屈めるオーディエンスたち。いや、その逃げられない体勢のところに、水鉄砲(水バズーカ)で放水ってドS過ぎるだろう、逹瑯。バンドの爆音が再び鳴り出すと同時に、フィールドも一斉ジャンプ! 壮観。鉄板の盛り上げぶりで辿り着いてしまった最終ナンバーは、近年の楽曲に戻って“アイアムコンピュータ”だ。地元・茨城でのステージで、ヘヴィな感情を燃やし尽くす素晴らしいライヴを見せてくれたムックだった。(小池宏和)