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開演前から入念なサウンドチェックを行っていたGalileo Galilei。気づいたら予定時刻に達したので、そのままステージを掃けることなくライヴをスタート。1曲目は“青い栞”。繊細なアルペジオが放たれた刹那、WING TENTの中を夕暮れの涼しい風がスーッと吹き抜け、自然発生的にハンドクラップが沸き起こる。決してフロアを煽るタイプのバンドではないけれど、その美しく透明なアンサンブルは、WING TENTがパンパンに膨れ上がるほどに詰めかけた観客の心をすっかり捉えてしまったようだ。
「今日は新曲を聴いてもらいたいです」(尾崎雄貴/Vo&G)として2曲目に鳴らされたのは、“さよならフロンティア”。結晶がきらめくような電子音→ノイジーなビート→尾崎の歌声→まろやかなアルペジオ→澄んだドラム……と徐々に音が重なっていき、雄大な風景を広げていく楽曲。そのまま“スワン”へと流れると、光の世界を仰ぎ見るようなピュアな少年性に溢れた言葉が紡がれていく。サビで一気に爆発するバンド・サウンドは、以前ライヴで観たときよりも格段に強靭にダイナミックになっている印象。とは言え「どうもこんにちは、Galileo Galileiです。僕たちは全員北海道出身のバンドです。今も札幌で音楽活動をしています。思ったよりも涼しいと思っていたのですが、ライヴをはじめると暑いです」と棒読みで告げる尾崎のMCは、まだまだあどけなさも残っているけれど。MCの後、シーンとなった観客を前に「……MC苦手です」と思わず呟いてしまった姿がなんとも微笑ましかった。
ラストは、彼らの名前を一気にメジャーへと押し上げた3rdシングル“僕から君へ”で、青く透明なエモーションを立ち上らせて終了。入念なサウンドチェックを行っていたリハ中の姿だけでなく、ひとつひとつのアンサンブルを丁寧に紡いでいくライブ中の姿からも、彼らの音楽と聴き手に向き合う真摯な姿勢が透けて見えた、充実のアクト。この瑞々しい30分を堪能して心が洗われた気持ちになった人は、きっと私だけではないはずだ。(齋藤美穂)