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フェスの終わりが近づいてきて、ちょっぴりしんみりとした切なさが風に混じる夕暮れ。SEASIDE STAGEの大トリを任されたのは、曽我部恵一BANDだ。もはやフェスに欠かせない存在である4人――こっちまでつられてつい笑顔になってしまう、音楽とビッグなスマイルでこの3日間にとっておきのリボンをかけてくれるはず。ステージに登場し、いつもどおり円陣を組む4人の姿に、そう確信した。オーディエンスのテンションも一気にはね上がって、SEASIDE STAGEはパッと明るさを増した。
そんなまばゆいばかりのステージから放たれたのは、“キラキラ!”。ドカスカとパワフルなオータコージのドラム、豪快にベキベキとかき鳴らされる大塚謙一郎のベース、ロッキンな上野智文のギター、そして全身で歌い、「ひたちなか~」「みんな、最高~!」とオーディエンスに語りかける曽我部恵一。まるで小さなライヴ・ハウスで演っているように、ステージ中央にぎゅっと固まってプレイする4人。4人で力を合わせて、「せーの」でどこまでも遠くへ音楽を飛ばしているといったふう。彼らを観ていると、バンドって本当に楽しい、っていうことがダイレクトに伝わってくる。「ROCK IN JAPANにお越しのみなさん、“テレフォン・ラブ”という曲やってます! 一緒に歌ってくれるかい?」と、遠くまで呼びかけ、フェス定番曲“テレフォン・ラブ”や“青春狂走曲”で大合唱を巻き起こし、“魔法のバスに乗って”で心地よく体を揺らす。ラストには、「始まったばかりの夜に、そしてみんなに捧げます」と、“STARS”を披露して大団円を迎えたが、なにせ今日は大トリである。オーディエンスも、「まだまだ、終わりじゃないでしょう!」とばかりに大きく手拍子をして、アンコールへ。
夕方には奥田民生の数人カンタビレにコーラス参加して、夏フェスの曲を作った曽我部。実は、曽我部恵一BANDでもこの日のために曲を作ったのだという。タイトルは“サマーフェスティバル”! 「初めて演奏するので緊張する」と語りながらも、最高にハッピーでスペシャルなロックンロール・チューンをプレゼントしてくれた。会場中が歓喜で包まれ、今日いちの笑顔であふれたことは言うまでもない。(吉羽さおり)