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今年も快晴に恵まれたROCK IN JAPAN。SOUND OF FORESTのオープニングを飾るのは、RIJ初出演となる秦 基博! ミンミンという蝉の鳴き声に包まれたFORESTに、バンドメンバーと共に登場した秦。軽く手を上げてオーディエンスに挨拶すると、ワー!という歓声が沸き起こる。そのまま緩やかなバンド・サウンドに導かれて“休日”を歌いだした途端、FORESTの空気が一変したのがわかった。身体にスーッと沁みこむ水分みたいな透明感がありながら、どこまでも高く上り詰めていくような強靭さも兼ね備えた、その歌声。心地よいサウンドに身体を揺らすというより、固唾を呑んでステージを見守るオーディエンスの姿が、その凄まじいエネルギーを証明していた。その後も、キラキラした鍵盤のイントロから突入した“鱗(うろこ)”、清冽なアコギ・サウンドと澄みわたる歌声が響きわたった“新しい歌”と、豊潤なアンサンブルを紡いでいくバンド。最初の挨拶で秦は「はじめまして秦 基博です。暑いね。でも何もしてあげられないよ。せめて音楽だけでも」と言っていたけれど、その公言どおり、眩いばかりの輝きと透明感を持った歌とメロディが、SOUND OF FORESTにこれでもかと涼しい風を吹かせてくれていた。バンドメンバーが一旦掃けて「すっかり夏なんで夏の曲をやります」と“プール”を弾き語りで披露した後は、再びバンドメンバーを迎えて“ドキュメンタリー”へ。ラストは“水無月”の軽やかなサウンドで満場のハンドクラップを呼び起こし、フェスの幕開けにふさわしい多幸感溢れるヴァイブスを生み出してステージは幕を閉じた。メジャー・デビューから6年。武道館などの大ホールから地方のライヴハウスに及ぶまで、ギター1本で全国の隅々を歌い歩く秦 基博。その真摯な歌心が堂々と伝えられた、圧巻のアクトだった。(齋藤美穂)