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本番さながらの盛り上がりを見せていたサウンドチェックの演奏に続き、「いい風が吹いてるじゃないですか、ひたちなか!」の渡會将士(Vo・G)の言葉からそのまま“blow by blow”の小気味好いビートへと流れ込んでみせるFoZZtone。渡會のカッティングが、竹尾典明(G)の流れる水のような滑らかなフレーズが、そして菅野信昭(B)のしなやかなベース・ラインが、爽快そのもののビートとともに鳴り響いて、熱い陽射しが降り注ぐSEASIDE STAGEを心地好いリズムとメロディの楽園へと塗り替えていく。「最も海に近いここSEASIDE STAGEへようこそ! 最高に気持ちいいぜ!」という渡會のコールとともに“Keller Water”の鮮烈なサウンドでさらに勢いよく快楽の高嶺へと駆け上がった後、ドンドンドン、パン!というパワフルなドラムのイントロから、名曲“LOVE”へ! スケール大きな高揚感を持ったメロディが、ミドル・テンポのでっかいグルーヴと一丸となって、高らかなシンガロングを巻き起こしてみせる。膨大なロック・ヒストリーとその精神を、渡會のセンス越しに高純度結晶したようなFoZZtoneの音楽。2枚組の最新アルバム『INNER KINGDOM(内なる王国)』を通して獲得した、まさに新次元と呼ぶべき表現力と包容力が、SEASIDE STAGEいっぱいに咲き乱れていく。
“Fish,Chips,Cigarettes”の切れ味鋭いロックンロールを聴かせる中、「シーサイドっつうのに海見えねえし、海入りてえし、海入ったみたいになってるし! 俺が今いちばん直射日光浴びてててさ。俺がいちばん輝いてる!(笑)。いや、みんなも輝いてる! OK、いい子だ!」と語りかけながら観客をさらにぐいぐい音に引き込んでいく渡會。“Club Rubber Soul”のレゲエ風ビートでさらに熱いダンス空間を生み出した後、彼らがラスト・ナンバーに選んだのは“レインメイカー”。オーディエンス丸ごと抱きしめるような晴れやかなメロディが、心地好い余韻とともに胸に残った。(高橋智樹)