会場に入って驚いたのは、バンドメンバーの数だった。メンバーを固定しないバンドという独特な構成で活動してきたNulbarichにしかできない、全13人のメンバーがステージの端から端まで並んでいる。歴代メンバーが登場するということは前情報としてあったが、入れ替わりで登場するのかと思っていたので、これもまたサプライズであり、ファン歓喜の演出だった。
演奏された楽曲は歴史を網羅する全25曲。24曲までMCなしで演奏し続けた彼ら。全楽器隊から一斉に鳴らされる音は、音源とは比較にならないくらいの厚みと深みがあり、この空間でしか聴くことができない音を全身で浴びることができた。客席を見ると誰もが身体を揺らし、手を上げて音の波に乗りながら彼らの音楽を楽しんでいる。
当たり前のことではあるが、音楽は音を楽しむということ。自由にそれぞれがそれぞれのやり方で音を味わい、楽しむ観客の光景が広がるのもNulbarichのライブの大きな魅力のひとつだと思う。
本日、唯一のMCでJQは「もう2時間くらいの寿命をともにしたんだよ。最高の使い方だ」というような言葉をかけていたが、大好きなアーティストと、会場にいるファン、配信を観ていたファン、そんな数え切れない人数の寿命を全員で共にできることが、どれほど尊く大切な時間であるかを強く感じられた。よく話すほうではあっても、照れ隠しをしてどこか言葉足らずなJQではあるが、どの言葉にもぬくもりを感じることができた。
そして、最後にまさかの発表となったのが、12月11日に同公演と同じタイトルのオリジナルアルバム『CLOSE A CHAPTER』がリリースされるということ。さらに退場時に配られたフライヤーに記載されていた「いつも言葉足らずでごめんね。Always’sアリガート♡」という手書きの文字を見て、私はとても愛情を感じたし、そのサプライズな伝え方に同じ男として憎さすら感じた(笑)。いつかの活動再開をずっと待っていられる。そんな気持ちを確信に変えてくれたライブだった。
そんなNulbarichの歴史的なライブを終えたJQにじっくりと話を訊いたインタビューを12月27日(金)発売の『ROCKIN'ON JAPAN』2月号でお届けするので、ぜひともお楽しみに!(岩田知大)
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