★ストームジーに続き、
ザ・キュアーやザ・キラーズの名前が今年のヘッドライナーとして挙がり始めている「英国夏の名物」＝グラストンベリー・フェス。

ちなみに筆者が昔から英米ミュージシャンと話をする度によく聞く愚痴が、
「グラストンベリーの観客動員数は世界でもトップ・クラスなのに、なぜ出演ギャラはあんなに安いんだ！？」だったのですが、

具体的にどのくらい安いのか？は英音楽界でもある種「極秘情報」であることが無言の了解みたいになっていて、
これまで大っぴらに議論されたことはなかった（メディア上で堂々とグラストンベリーのギャラが安いことを暴露し、文句を言ったのはオアシス時代のギャラガー兄弟くらい）。

★で、そんな長年の【謎】にやっと明確な答えを出してくれたのが、
現在のグラストンベリー・フェスの主催者であるエミリー・イーヴィス（初代主催者マイケル・イーヴィスの娘）。

つい先日、英ＳＳＷジョージ・エズラのポッドキャスト・ディスカッションに登場したエミリー・イーヴィスは、
グラストンベリーの出演ギャラが他フェスに比べ格段に安い（他フェスの約10％！）理由をこんな風に説明している。
↓
「我々グラストンベリーの主催者側は、フェス運営面のすべてにおいて私たち独特のやり方を昔から貫くことにしています。
様々なチャリティ活動と提携していることもそのひとつで、
フェスとしての利益を上げることと同じくらいチャリティ団体にお金を寄付することを重視するビジネス・モデルを持つフェスなんて、
昨今この規模のフェスでは他に類を見ません。

さらに通常のフェスは会場やサイトを充実させることにはあまりお金をかけたがらないものですが、
グラストンベリーは観客が別世界のフェス体験ができるよう豪華かつ大掛かりなサイトやステージを作るために出費を惜しみません。
その一方で出演アクトのギャラは決して高額ではないわけですが、
そんな状況で我々は出演者に莫大なギャラを払う他の多くの商業フェス、
グラストンベリーの10倍ぐらいのギャラで出演アクトを誘うような他の多くのフェスと同じ市場で競争しようとしているわけです。

でもグラストンベリーの内情を知らないアーティストやバンドにとってこうした状況に直面するのはショックでしょうね。
たとえば商業フェスが中心のアメリカからやってくる若手アクトたち、
『うわ、英国最大のフェスに出演できる！』と喜ぶと同時に、出演ギャラの額をみて『これ、、、冗談だろ！？』と驚愕するという。
そういう場面に私も何度も遭遇しています。
でも私がそういう時にアーティストに言うのは『グラストンベリーのメディア露出度は英国産フェスの中でも最大だから、
出演すれば必ずあなたの知名度やセールスも急上昇するはず。
だからこのフェスの出演ギャラは少なくても、
出演後のあなたのツアーのチケット・セールスやアルバム・セールスが格段にアップすることを保障するわ』ってね」。