名手の足跡を一挙に

ジャック・ホワイト『ジャック・ホワイト アコースティック・レコーディングス 1998-2016』
発売中
ALBUM
昨年春にツアー休止を宣言、サード・マン運営や酔狂プロジェクトにいそしんでいる感のあるジャックだが、ホワイト・ストライプスからラカンターズ、そしてソロと、18年にわたるキャリアを俯瞰するコンピが登場。

選曲テーマはタイトルからも明らかだが、一部の収録曲はミックスを施して「アコースティック調」に仕立て直したもので純然たるアンプラグドではない。サントラやシングルB面、未発表曲や貴重な音源といったいくつかの目玉トラックを除くと長年のWS/JWファンにはおなじみの楽曲が顔を並べる。とはいえこれまでベスト盤が存在しなかったアクトだけに、入門作として若いリスナーにうってつけな内容だと思う。電撃ガレージ・ブルース・ロッカーという「表」の顔ではないものの、彼の音楽の核=優れたメロディ・メイカーとしての魅力とアレンジャーの資質を存分に味わえる名曲の数々をこうしてひとつの洒落たパッケージで聴けるのはやはり嬉しい。ジャックのペンになるオリジナル曲を集めているのでカヴァーからは若干漏れたトラックもある。もしこの企画がシリーズ化するなら、次はぜひカヴァー曲のアンソロジーを!(坂本麻里子)