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前作『30』が“EN”の強烈なポエトリーで幕を開けたことを思えば、本作の1曲目、爽やかなギターサウンドの屈託のないラブソング“ビタースウィート”には意表を突かれる。だが、この多面性こそが今のUVERworld。続く“VICTOSPIN”では獰猛なミクスチャーサウンドに乗せて、彼らは聴き手の生命のアジテーターとしての本領を発揮する。BE:FIRSTのSHUNTOをフィーチャーした“ENCORE AGAIN”やANARCHYをフィーチャーした“FINALIST”のしなやかな力強さ、“Don't Think.Sing”では深い内省と己の生き様を、そして“THEORY”では聴き手への愛を浮かび上がらせる。鼓舞、叫び、告白、自問自答、ささやき……様々な口調で「人生」を語る、この混沌としつつも明瞭な一作を締め括る最後2曲には、しかし、言葉はない。音楽という「ENIGMASIS(=謎)」に身を預けるようにして本作は幕を閉じる。1曲目の《言葉にしなくたっていい/感じ取れてればいい/愛の言葉なんて》という歌詞を体現するかのように。(天野史彬)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年9月号より抜粋)
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