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自身初のアリーナツアーをはじめとする精力的な活動でバンド黄金期を更新した2023年のエレファントカシマシ、そのデビュー35周年イヤーを締め括る最新シングル。《No more cry この空の下で/No more cry 心がうたうよ》……三拍子のリズムを基調としたアコギのストロークと宮本浩次の歌に、ソリッドなバンドサウンドが重なり合い、聴く者の魂を奮い立たせるハードバラードの音像が立ち昇ってくる。《振り返れば 涙ばかりの想い出》《夢よもう一度 我が胸を焦がして》といったフレーズは紛れもなく、35年間の足跡を改めて回想する宮本の「今」のリアルを刻み込んだものだが、この楽曲で何より印象に残るのは、長い旅路を経てなお《浮世の風にああ heartが叫ぶよ》とまっすぐに情熱を突き上げる、少年のような無垢な響きを帯びた宮本の歌声だ。《やるしかないなover/ああ俺たちもっと輝けるのさ》とさらなる闘志をたぎらせるカップリング曲“Hello. I love you”とともに、「その先」の進化への意志を明快に伝えてくる名盤。(高橋智樹)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年12月号より抜粋)
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