リアルな感情を伝えるために必要なロックの形

クレナズム『Whisper of the heart』
発売中
MINI ALBUM
日本語ポップスとしての情感が、高精細シューゲイザーサウンドと深く結びついて描き出す音楽の風景や匂い立つほどのムードに、日本のロックの進歩と成熟を嗅ぎ取ることができる。福岡出身の4人組バンドであるクレナズムは、2018年の結成直後からその明確なビジョンに裏づけられた表現スタイルを貫いており、2022年の初フルアルバム『日々は季節をめくって』を経て本作が通算5作目のミニアルバムとなる。その強烈な情景喚起力は、気鋭映画作家の野田英季がクレナズムの音楽にインスパイアされ製作した同名映画の主題歌“ふたりの傷跡”にも見事表れているし、シューゲイザーサウンドの刺激を臆することなく振りまいたうえで歌心を重ねてゆくシングル曲“8月31日”も素晴らしい。メンバー全員がビジョンを共有し作詞・作曲に携わる表現は、すでに理想的な現代ロックバンドの在り方としてクレナズムイズムを提示している一方、まだまだ驚くべきケミストリーを見せてくれそうな可能性を秘めているので、要注目だ。(小池宏和)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年12月号より抜粋)


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