3月14日に行われたメジャー・デビュー10周年ライブの全42曲を収録している。この日は、初の日本武道館ワンマン公演。武道館でPOLYSICSの曲を聴いている！という事実に、観客が心から興奮している様子が、この映像からも伝わってくる。ユニークなスタイルであるのは確かだが、抜群のメロディとノリのカッコ良さに溢れたバンドであることも、これだけ一気に楽曲を堪能すると良く分かる。こうして10年をかけて武道館を満杯に出来るようになったのは、彼らが極めて真っ当に優れた音楽性の持ち主であることの何よりもの証明だろう。

そして、この日はキーボードのカヨの卒業公演でもあった。彼女が歌う曲を聴いているとやはり胸が一杯になるが、カヨやメンバー達は感傷を見せることなく、最後まで人を喰ったバンドPOLYSICSであり続けてくれたのが素晴らしい。なにしろカヨの最後の挨拶は、ボコーダー・ボイスなのだから、さすがだ。POLYSICSとして、そしてそのメンバーのカヨとして筋を通し続けた、本当に感動的なステージだったなあと、今作を観て改めて強く思った。（田中大）