カール・バラー、リバティーンズと新バンドの今後、そして乗り越えた自殺願望を語る

カール・バラー・アンド・ザ・ジャッカルズ『レット・イット・レイン』2月18日発売

ロンドンでの2日公演の後、短いヨーロッパ・ツアーも10月に敢行したザ・リバティーンズだが、カール・バラーは今年に入ってから招集している自身のソロ用のバンド、ザ・ジャッカルズのとのツアーも今月始動させる。

カールはジャッカルズとの新曲"Glory Days"をオフィシャル・サイトでも公開しているが、11月14日から小規模な会場をめぐるイギリス・ツアーを開始し、11月21日にはロンドンの100クラブでの公演を予定している。

もともとセカンド・ソロを準備していく段階でセッション・ミュージシャンとの制作に満足いかなくなって「バンドを組んでやっていきたい」とカールは今年に入ってからメンバーをフェイスブックで募集し、オーディションを決行して今回のバンドを結成している。かねてから制作を進めてきた新作については以前から伝えられた通り、ザ・ブロンクスのジョビー・J・フォードがプロデューサーとして参加していて、最後に制作した3曲についてはザ・ジャッカルズで仕上げたこともカールは明らかにしていて「みんな臆面もなくクリエイティヴになりたがっていて、この生活を満喫したがってるんだよね」と語っている。なお、新作『レット・イット・レイン』は来年2月のリリースが決定している。

その一方で、カールはピート・ドハーティと来年リリースを見据えてリバティーンズの新作用の楽曲の準備を続けているとも伝えられているが、今年の春先に突如、実現が決まった再結成ライヴ・シリーズについては寝耳に水だったことをカールは認めている。

「ピートがイスラエルの新聞にハイド・パークでのライヴについてぼくたちが承諾したと話して、その話がマスコミを駆け巡ることになって、俺もその騒ぎの中で初めて知らされたんだよね」

「けれども、よく考えてみるとね、2010年にレディング・アンド・リーズで再結成してから、その後一緒になにもやらなかったことについて、特に原因や理由があったわけじゃないんだよなって気づいてね。とにかく、一人っきりで活動してると頭がおかしくなりそうになってくるんだよ。俺の疑問とか、いいか悪いかの判断とか、それを答えてくれる相手が俺しかいないわけで、すぐにわけがわからなくなってくるんだよ。ずっと堂々めぐりになっちゃって、なにも生産的なものが生まれてこなくなるんだよ」

特にピートがヘロインと手を切るまでリバティーンズとしての活動を見送ると決めてきたことについてカールは次のように語っている。

「厳しい愛で人に臨むのは本当に一番しんどいことだよ。こっちの心が痛むからね。いつか、ピートにもその気持ちがわかれば嬉しいんだけどね。俺たちは人生の中でも一番自分を形作るのに影響する時期に一緒に過ごしたからね。それは永遠に変わらないし、どんなものでもこの絆を断つことはできないんだ。感情的には本当に嵐のように激しい時期だったけど、幸い、俺の場合にはヘロインが体質に合わなかったんだよね。じゃなかったら、もう今頃生きてなかったと思うよ」

その一方でリバティーンズとジャッカルズとの棲み分けについてまだ自分でも模索しているところだとカールは明かしている。

「今の作業の過程で俺としては二つのバンドの違いを見極めなきゃならないんだよ。ソロでなら表現しやすい自分の側面とかもあって、それは俺にとってもっとパーソナルなものなんだよね。でも、リバティーンズはいつだってピートと俺の関係に基づいたものになっていくはずなんだよ」

「けれども、ピートにもソロ・プロジェクトとしてベイビーシャンブルズがあるわけだから、俺と似たような状況にあるんだよね。俺としてはリバティーンズについて、解散したようには一度も実感してないんだよ。毎日毎日ずっと俺と一緒にあったから。でも、だからといってほかのことをやらないわけじゃないんだ。今度のザ・ジャッカルズの新作アルバムもすごく楽しみにしてるし、早くに世に出したいんだ。バンドは今はすごくいい状態で、今すぐにでも飛び出していきたがってるし。それを欲してるんだよね」

なお、カールは最近では瞑想やセラピーを実践することで自身が抱えてきた抑鬱などを改善させてきたことを明らかにしている。

「2年前から瞑想をやるようになって、セラピーもしっかり受けるようになったんだよ。本当に気分が落ち込んでいる時っていうのは、腰を落ち着けて瞑想することほどやりたくないことはないんだけど、実際にやってみると心の平穏を得ることができて、なんで最初からこれをやらなかったんだろうって思っちゃうんだよね」

「俺としてはもう変わらなきゃならなかったんだ。もう鬱で落ち込んだ、自己破滅的な人間をやってるわけにはいかなくなったんだよ、特に子供が出来たとなればね。いつまでも自分を見失ってる状態をやめて、自分をしっかり見つけなきゃならなくなったんだ。鬱に罹っている時っていうのは、抑鬱状態にあることが自分にとっては楽なところもあって、そういうことにもう片をつけなきゃならなかったんだよ。そういう意味で家族は俺には救いになったんだ」

「2003年に俺は酒が原因で自殺騒ぎも起こしてて、リバティーンズのセカンド用の曲を書くんでピートと再会した時にウィスキーを1本空けてそういう騒ぎになったんだよね。ウェールズにあるマネージャーのアラン・マッギーの家にいて、流し台に顔もろとも激突してね。もう自分の身体の中にいたくなかったんだよ。セラピーだったらあの手この手でほどこうとしていくような、普通だったら人に助けや相談を求めるような、子供の頃のいろんな問題を抱えてたんだ。もう俺としては他人をああいうことに二度と巻き込みたくないんだ。死と戯れているようなもんで、時々度が過ぎたことになるんだよ」

「自分の悪魔に取り囲まれた時には、酒を一切断って、自暴自棄な態度をやめれば、そのサイクルを断ち切れるんだよ。それが出来た時は奇跡のようだし、また、日の光を見ることができるんだ。でも、やるんなら最後までやり通す意志が必要なんだ。とにかく、人については大変なことになる前にその人がそういう瞬間を見出せるように願うしかないよね。実際、滅多にそういうことは起きないものなんだけど、俺の場合は本当に幸運だったんだ」

カールとジャッカルズによる新曲"Glory Days"を聴くにはこちらから。
http://www.carlbaratandthejackals.com/

●リリース情報
カール・バラー・アンド・ザ・ジャッカルズ
『レット・イット・レイン』
2015年2月18日発売
TECI-23701 ¥2,300+税
ライナーノーツ(a flood of circle:佐々木亮介)・歌詞・対訳付
日本盤ボーナストラック2曲収録

01. Glory Days
02. Victory Gin
03. Summer In The Trenches
04. A Storm Is Coming
05. Beginning To See
06. March of the Idle
07. We Want More
08. War of the Roses
09. The Gears
10. Let It Rain
<ボーナストラック>
11. Drive
12. Get A Gun