グループ魂、向井秀徳・遠藤ミチロウ・乱一世ら「本人」も入り乱れた、爆笑&混沌の『20名』野音公演レポ!

all pics by 緒車 寿一

グループ魂のアルバム『20名』リリースツアー「グループ魂TOUR『グループ魂の納涼ゆかた祭り』」。2015年8月29日、その最終公演「雨のノーパン成人式in野音」が、日比谷野外大音楽堂にて行われた。RO69では、この模様をライヴ写真とレポートでお届けする。

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いつも港カヲルの口上→「おっぱい元気?」のコール&レスポンスで始まるのがグループ魂のライヴだが、このツアーは違う。ニューアルバム『20名』のジャケット撮影に集まる、という体で、宮藤官九郎(石鹸)、楳図かずお(バイト君)、彦摩呂(港カヲル)、さかなクン(暴動)による、(カオルさん曰く)「大人計画とナイロン100℃によるぎこちないコント」に続いて1曲目“アニマル浜口”でスタート、というオープニングなのだが、ツアー最終日であるこの日比谷野音には、その「ぎこちないコント」の途中から本物のアニマル浜口が登場。2曲目“乱一世”では曲中のブレイクで本物の乱一世がステージを上手から下手へ駆け抜け、その後もう一度下手から上手へ駆け抜ける。3曲目“遠藤ミチロウ”では、本物の遠藤ミチロウがザ・スターリン当時のメイクとTシャツ(黒地に赤文字でSマークのファンにはおなじみのやつ)で登場してリード・ヴォーカルをとり、そのまま“解剖室”(ザ・スターリン)のカヴァーになだれこみ、それが終わってメンバーがはけて、ようやくカヲルさんの口上タイムへ──という始まり方でした。
その他、特筆すべきポイントがあまりにも多いので、以下、箇条書きにします。

・そのカヲルさんの口上明けの4曲目“ラーメン二郎”から14曲目までと、二度目のアンコールの“Over 30 do The 魂”に、パーカッション(&たまにトランペットもしくはコルネット。どっちかわかりませんでした)でASA-CHANGが参加。「念仏」という魂ネームを冠されていました。
・5曲目“ウィリアム・カウパー”の中盤でカヲルさん、白いアコギを弾きながら歌う。
・「皆川スポーツ」のコーナーではカヲルさん、メンバーを横一列に並べて、「台本がないとしゃべれないんですか?」とか言いつつ、順番にフリートークを強いる。挙句、佐藤涼子(演出助手)に石鹸がビンタされる、と思ったらカヲルさんがビンタしてコーナー終了……という流れなのだが、今日はそのビンタの際にカヲルさんの指が目に当たって石鹸が本気で痛がり、軽く惨事っぽい感じになる。あとカヲルさん、佐藤涼子に対し、3000人以上が見守る前でやるのはちょっとどうかと思うセクハラも行う。
・続く10曲目“お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました”で再び遠藤ミチロウ登場(Tシャツを『虫』のジャケットのやつに着替えていた)。2010年リリースの『ロマンチスト~THE STALIN・遠藤ミチロウTribute Album~』で、グループ魂がカバーしたこの曲のリードヴォーカルをとる。カヲルさん、さすがにこの時はおとなしくしてました。
・12曲目“欧陽菲菲”の途中からさかなクンが登場、サックスを披露。続くMCではその天真爛漫っぷりに「(メンバーに向かって)みんな、惑わされないようにしよう!」(破壊)などと一同をうろたえさせつつ、次の“さかなクン”でも吹きまくる。
・14曲目“いわきアンモナイト音頭”終わりで向井秀徳登場。CDの“向井徳次郎”の後日譚、という設定で、腹部に包丁が刺さったままのナベアツシ(破壊)と店長(荒川良々)との3人によるコントの中で2曲弾き語り。1曲は3コードのブルース、もう1曲は松任谷由実“守ってあげたい”。
・アンコールの18曲目“佐藤涼子~おかげさまで20年~”は、石鹸・カヲルさん・バイト君が佐藤涼子に扮してスタート。曲中のブレイクでメンバーみんなが「涼子!」「涼子!」と口々に佐藤涼子を呼び、彼女が出てきてみんなの世話をする、という流れなんだけど、ここでもカヲルさん、彼女の去り際に度のすぎたセクハラコメントを炸裂させる。
・二度目のアンコールの頭で“~中村屋華左右衛門~”あり。今回も爆笑に次ぐ爆笑だったのはいいが、終了してひとりひとりがMCをするコーナーに移っても、荒川良々はソデに残って大向こう(かけ声)をやめず、ひとりずつのしゃべりに声を飛ばし続ける。爆笑。
・そのメンバーひとりずつのMC、素でしゃべるように破壊が全員に命じてスタート。ライヴ前半から「大阪で泣いた」「今日も絶対泣く」といじられていた石鹸の涙を誰もが期待しつつ彼の順番を待っていたところ、その前に遅刻が泣くというアクシデントが発生、場内騒然。
・アンコールの20曲目“Over 30 do The 魂”でゲストの遠藤ミチロウ、さかなクン、荒川良々が登場。それぞれアカペラで《Over 40 do The シコる》を歌わされるが、破壊「あっサカナくんはいいです!」と、彼にだけ歌わせず。大爆笑。
・ラストはメンバーだけで“君にジュースを買ってあげる❤”で野音いっぱいに《あんあんあん あんああんあん》のシンガロングを響き渡らせて終了。

以上です。ゲストいっぱい、過呼吸になるほど笑わされっぱなし、というライヴだったが、結成20周年ということで、あと『20名』が実は過去もっとも破壊の地の部分が出ているアルバム(と僕は思っている。特に“遠藤ミチロウ”“高田文夫”あたりがそう)であるというせいもあったのかもしれないが、初の日本武道館(2011年2月5日)以来の「感動あり」「涙あり」のライヴだったところが特筆すべき点、だったと思う。『ビートたけしのオールナイトニッポン』世代としては、本編ラスト、17曲目“高田文夫”で、《高田文夫になりたかった 真面目はいやだ》と歌う破壊の右後方で足をふんばってギターを弾く暴動の姿に、どうしたってグッときてしまうのでした。

あとひとつ。もう「パンクコントバンド」とは名乗れなくなったかもな、と思った、いい意味で。『20名』ってファンクやソウルの要素が入った、グルーヴィーで演奏の難しい曲が多くて、現にツアー初日の8月4日(火)Zepp Tokyoは段取りの不慣れさも含めてかなりバッタバタな感じになっていたんだけど、この日の演奏は、見事なもんだったので。パンクバンドはあんなノリ、出せないと思う。(兵庫慎司)

●セットリスト

~オープニング~
01. アニマル浜口
02. 乱一世
03. 遠藤ミチロウ~解剖室
~港カヲル口上~
04. ラーメン二郎
05. ウィリアム・カウパー
06. 彦摩呂
~ネタ~
07. 楳図かずお
08. 職務質問
09. 毒蝮三太夫
~皆川スポーツ~
10. お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました
11. 東北の魂
12. 欧陽菲菲
~MC~
13. さかなクン
14. いわきアンモナイト音頭
~向井徳次郎~
15. 押忍!てまん部
16. ペニスJAPAN
17. 高田文夫
(encore1)
18. 佐藤涼子~おかげさまで20年~
19. TMC
(encore2)
~中村屋華左右衛門~
20. Over 30 do The 魂
21. 君にジュースを買ってあげる❤

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