ノエル・ギャラガー、U2ボノの酒豪ぶりに脱走を企てたことを明かす。「ボノは人間じゃない」

photo by Lawrence Watson

11月22日に新作『フー・ビルト・ザ・ムーン?』をリリースするノエル・ギャラガーだが、U2のサポートを務めた際にボノのあまりの酒豪ぶりにさんざんな目に遭ったことを明らかにしている。

イギリスのラジオ局、「Absolute Radio」のクリスチャン・オコンネルの番組に出演したノエルは、爆弾テロ事件後に営業再開したマンチェスター・アリーナのチャリティ・ライブ「We Are Manchester」に出演した時のことを振り返っている。

ノエルは“Don’t Look Back in Anger”がこの事件を境に、テロに対する「抵抗のアンセム」となったと振り返っており、それだけにライブ前には珍しく神経質になったと次のように明かしている。

「俺はライブに臨む時、あがったりすることは絶対にないんだ。これまでそういう体験は一度もしたことないんだよ。俺はこれまでずっと、ソロになってからも、お客さんは全員自分を観に来てるんだから、俺がステージの上で挙動不審みたいなところを見せる姿なんか観たくないに決まってるっていうマインドセットで出番に臨んできたんだよ。

『ううう~、ちょ、ちょっと気分悪いんだけど、精一杯頑張らせていただきます……。ごめんなさい』とかってさ、もうそれ最悪だろ。やるんならしっかりやれよっていう。ステージに立つのは、お客さんを触発したくてやってることなんだからさ。

だけど、さすがにあのライブの前は楽屋で出番を待ちながら、神経質になってたと認めざるを得ないよ。あの曲だけはしっかりやらなきゃいけないっていうことでね。そもそもものすごく人気のある曲だし、それをアコースティックでやって、しかも、爆破事件の後でみんなが追悼集会の中で自然とあれを歌い出したっていう、その精神に見合うものとしてやらなきゃならないわけだからね。

だから、できれば……っていうか、しっかりやるしかないって、あの日にふさわしい内容になってほしいってひたすら願ってやっただけだよ。で、演奏を始めて歌い出したら、もう歌うしかないんだからね。だけど、確かにものすごい瞬間ではあったね」



その一方で、7月にノエルはU2の「ヨシュア・トゥリー・ツアー2017」のヨーロッパ公演分でサポートを務めることになったが、その際、ボノの超人的な飲みっぷりに閉口したことを次のように明かしている。

「ダブリンのライブをやって、打ち上げに行って、俺はボノの家に泊めてもらうことになってたんだ。打ち上げ会場を朝の6時くらいに出たら、もうライブから1日経ってるのに打ち上げ会場はそのまま客で満杯で(笑)、客でぎゅうぎゅうっていうとんでもない状態なんだ。

その次に憶えてるのは、携帯の着信で目を覚ましたことで、ここってどこだっけって思いながら電話に出ると、電話の相手はボノなんだよ。それで『おっ、生きてた? 今どこ?』って訊いてきて、『どこって、あんたの家のはずなんだけど、本当にそうなのかって訊かれても見分けがつかないからわかんねーよ』とか話して(笑)。

ボノの家の庭園の隅にあるゲスト・ハウスに泊まってたんだけど、『とにかく、生きてんなら早く来いよ、みんな待ってるんだから』って言い出すんだ。俺が『なんで?』って訊くと『おまえを主賓にしたランチを俺が用意してもう75人客が来てるんだよ』っていう(笑)。

で、俺が『……え?』って応えると、『早くしろよ』って言って『今起きたばっかりなんだけど』って言っても『ほら、アイルランド大統領が今来たよ。おまえの隣に座ることになってるんだけど』とか抜かしてるんだ。それでシャワーだけ浴びてすぐ行って、やあやあって挨拶がいろいろあって、ランチは3時から始まったんだ。それからそのランチ、何時に終わったと思う? 翌朝の4時10分過ぎだぜ(笑)。



その日またボノのゲスト・ハウスで目を覚まして、さらにその翌日のパリ公演に備えてその日パリに飛ぶことになってたんだ。この頃には俺もツアー・マネージャーにこぼしてて『ニール、ちょっと俺を迎えに来てほしいんだけど。俺もうこいつらについてけねーから』って相談して、『じゃあ、荷物をまとめて12時15分前に迎えに行くから』ってことになってずらかることにしたんだけど、荷物を持ってボノん家の庭を歩いてると、『なに鞄持って逃げようとしてるんだよ? しかも、挨拶もなしで?』ってボノにみつかって、『いやまあ、ずらかろうと思って。もうへろへろなんだよ』って言い訳しながらボノのガウン姿を拝むことになったんだよ。

それからボノはスクランブルエッグの朝食にビール2本飲んで、その間、ずっとオペラを流してて、『どこへ行くの?』って訊いてくるから『どこへ行くのってパリだよ。ライブがあるだろ』って答えると、『そういうことなら俺たちの自家用機で行けばいいじゃん』って話になって、自家用ジェットに乗り込んでその中でまた酒盛りだよ。

で、ここからが本当にすごいんだけど、パリにジェットが着くと、ボノは『俺はちょっと用事があるから後で会場でね』って言って別れて、俺はもう『よかった』って安心したんだ。『ボノとのツアーが終わったらまずリハビリ施設で酒抜きたいよ』って思ったくらいで(笑)。そうやってボノはいなくなった後、俺は宿のホテルに着いて、テレビのリモコンを探し当てるまで20分かかって、それからクラブ・サンドイッチを注文したいのに電話の相手が英語もフランス語もまともにできないから注文するまでまた10分くらいかかったんだよね。それでやっとソファーで落ち着いてテレビをつけてみてると、いきなりボノが映ってて、フランスの総理大臣と一緒に記者会見やってて、アフリカについて話してるんだよ。

だけど、俺はその前の2、3日間ずっと一緒にいたわけで、だから、ほんと思ったよ。『こいつ人間じゃねーから』って。おかげで、その次の日のライブじゃ俺は飲み続けてきたビールがそのまま汗になって出てきてたくらいで(笑)。その一方でボノはステージで24歳くらいの若造みたいな歌を聴かせてて、俺は『もう勘弁してくれよ』って思ったよ」


U2 - With Or Without You

また、今の若いアーティストがロック・バンドをやって活動を始めるのと、90年代に同じことをやるのとではまるで環境も意味合いも違うのではないかという問いには次のように答えている。

「っていうか、今20歳で音楽業界に入るってことになったら、その前になにがあったのかは知らないわけだ。だから20歳の人間がその違いを知ることはないわけだけど、90年代っていうのは、今になってようやくたくさんの人たちがあの10年がいかに素晴らしい時代だったかって気づき始めてるんだよ。政治、ファッション、音楽、スポーツ、すべてについてね。

時代を越えたものがいろいろ登場したからね。『トレインスポッティング』もそうだし、オアシスブラー、パルプとね。それといろいろすごいキャラクターの人物がいたんだよ、これはみんな忘れがちなんだけど、プリンス・ナジーム(プロボクサーで、元IBF・WBO・WBC世界フェザー級王者のナジーム・ハメド)とかさ」


Oasis - Supersonic