反プーチン・イヴェントで逮捕されたロシアのプッシー・ライオットの裁判、8月17日に判決へ


プーチン大統領への反対ライヴを行って身柄を拘留され、レッド・ホット・チリ・ペッパーズやフランツ・フェルディナンド、マドンナらが支持を表明しているロシアのパンク・ユニット、プッシー・ライオットだが、8月8日にバンド側の最終弁論が行われた。

プッシー・ライオットのマリア・アレキナ、ナデズダ・トロコニコヴァ、エカテリーナ・サムチェヴィッチは現プーチン大統領政権への反対デモを3月にパンク・ロック・ライヴとして断行。具体的にはロシア正教会のプーチン支持への抗議として3月にモスクワのキリスト救世教会で即興ライヴを行い、その後騒乱罪で逮捕された。7月20日に行われた処分では来年の1月12日にまで3人は身柄を拘留されることが決定している。

最終弁論でナデズダは次のように主張したと『ザ・ガーディアン』紙が伝えている。「これは個人という存在に対してどこまでも過酷に臨み、個人の威厳を尊重することを頑なに拒むロシアの政府システム全体を問う裁判なのです。もしこの政治体制がわたしたち女子3人に対して全力で体当たりしてくるというのであれば、それはこの政治体制は真実を恐れているということを意味しています」

検察側はバンドがロシア正教会への侮辱と騒乱を働いたとして3年の実刑を求めていて、バンドが政治的な抗議活動をしていたことについては認めていない。裁判長は判決を8月17日に言い渡すことを法廷で明らかにした。

さらにナデズダは今回の身柄拘束は「抑圧のための政治的発令」であり、またプッシー・ライオットの活動は「反体制アート」であるとして、プーチン政権の「全体主義的、権威主義的システム」を弁論の中で批判し、検察のことを指しながら次のようにも語ったとか。「わたしたちは確かに牢に繋がれていますが、あの人たちよりは自由です。わたしたちはなにも恐れず言いたいことを言えますが、あの人たちには政治的な検閲が許す言動しか許されていないのだから」。

また、マリアは次のように法廷に対して語ったとか。「わたしはあなたたちのことなど怖くはありません。嘘や虚構、そしてずさんな欺瞞で作られた、このいわゆる法廷の判決など怖くはありません。透明性によってわたしの言葉は生き続けるからです。この法廷での言葉を人々が読んで目撃した時、ここで語られる自由は、この国でわたしたちのことを聴いてくれている人たち全員とともに成長していくことでしょう」。

バンドの弁護団は最終的にバンドには有罪だとして3年の実刑判決が下るだろうと見込んでいるが、ただその判決そのものを実は今回裁判長がいったん見送った経緯があったことが重要だとしている。この事件がにわかに国際的に注目されるようになり、多くのミュージシャンが支持を表明したことが裁判に大きく影響したとニコライ・ポロゾフ弁護士は語っている。

「これだけの圧力がかかってくる中で即決するのは当局にとっては非常に危険なんですね。だから、時間を取ったわけです。判決がどういう結果になろうと、もうわたしたちは勝ったのです」

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