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密室感の高いパーフェクト・ポップをデリケートに鳴らすイメージの強いママレイド・ラグとフェスの開放的な祝祭空間。バンドとして初めてのチャレンジだけに、これはなかなか興味深いミスマッチになるんじゃないかと事前に想像していたが、冬フェスならではの凛とした空気をピシッと震わせるグッド・バイブレーションと「開かれたメロディ」で彼らはギャラクシー2ステージを包み込んでくれた。ギター、ベース、ドラム、キーボード、そして田中拡邦の艶やかな声、一つ一つの音がクリアに浮かび上がってくるその鉄壁のバンド・アンサンブルは、まるでこの幕張メッセが音響抜群のコンサート・ホールかと錯覚させるほど。2003年は6月にミニ・アルバム『きみの瞳の中に』をリリースし、その直後にツアーを回って以来、表立った活動の少なかった彼ら。しかし、しばらく潜伏している間に新ドラマーを軸にしたグルーヴはさらに深みを増し、すっかり足腰のタフなバンドになっていた。特にそれが顕著だったのは最新作からの楽曲“泣きたい気持ち”。アーシーで粘っこいロックンロール・チューンに生まれ変わっていて驚いた。田中のはにかむような「よいお年を」というMCとともに奏でられた最後の“春雨道中”。アウトロのギターの天にも上るような心地良い音色に陶酔しながら、2004年のママレイド・ラグの躍進を確信した。(宇野維正)

田中君の歌声にうっとり聞き入る最前列 「ママレイド・ラグ、良かった!」。
彼女がママラグの大ファンだという2人は愛知から参戦!