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白いバラの花束を抱え、スタッフにお姫様だっこをされて登場したCocco。腕の出た、鮮やかな赤の長いロングドレスを着ている。1曲目は“樹海の糸”。ステージに登場してからすぐに、すっと自分の歌に入っていく。すると、「あの声」としか呼びようのない声がEARTH STAGEに響き渡っていく。その印象は2曲目の“甘い香り”、その次の“燦”になっても変わらない。歌がのびのびとしていて、無駄な力がまったく入っていない。しかし、ロックのグルーヴが持つ遠心力だけを使って、歌の描く円がどんどんと大きくなっていく。一体なんなのだろうか、これは。こんなライヴはそうそうできるものではない。“燦”“流星群”と、その円はどんどんと大きくなっていく。天体の公転移動のような、そんなスケールと完璧なバランスを思い起こさせる。そして、最後に演奏されたのは“ジュゴンの見える丘”。この曲で膨張を続けたスケールは最大限に達する。演奏以外でほとんど言葉を喋ることはなかったが、ここで何が起こったのか、あの場にいた人は皆一様に分かったのではないか。(古川琢也)