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荘厳なSEの中やってきたのは榎本くるみ! その小柄な体からは意外なほどたくましい歌声がステージじゅうにこだまする。雲間から差す一筋の光のようなまっすぐな輝きを放つ“RAINBOW DUST”で、COSMO STAGEの空気がぱあっと澄み渡る。ぱっと聴き良質なポピュラー・ミュージックという印象のある榎本くるみの音楽だが、その核心には女性ヴォーカリストらしい母性を湛えている。母性といってもただ優しさとか寛容さだけではなく、もっと深い人間への尊厳というか、生きることの尊さ素晴らしさで溢れているのである。「今日は一年分の涙も笑顔も全部曝け出して帰ってください」というMCに続いて披露された新曲“未来記念日”。心の底からふつふつと勇気が湧き上がってくるような真摯なメッセージを、会場が息を呑んで見守る。可愛らしい恋の予感を歌う“エメラルド”、壮大なバラード“愛すべき人”で人生の陰陽を包み隠さず歌い上げ、甘い余韻を残し幕を閉じた。(林敦子)