COUNTDOWN JAPAN 07/08以来の出演となるナカコーことiLL。SEもなくふらりとステージに上がると、「今日はいつものメンバーに加えてROVOの勝井くん(勝井祐二、Violin)と仁くん(原田仁、B)に来ていただいています」と一言。そのままホーミーのような民族的な歌声が鳴り響く1曲目“Telepathy”へと突入する。どっしりとしたリズムや電子音の上でナカコーのディストーション・ギターが炸裂する緊張感あふれるアンサンブル。さらに勝井のまろやかなヴァイオリンの音色が絡み合い、雄大で疾走感あるサウンドスケープが描かれていく。静寂と高揚の間をふわふわと行き来しながら、呼吸をするように推移していくアンビエントな音の数々。それらがあまりにも滑らかで恍惚とさせられる。
15分にも及ぶ1曲目を終えた後は“Flying Saucer”へ。淡々としたビートの上でエレクトロな音像やフィードバックノイズが炸裂し、浮遊感あるストリングスが折り重なる。そのアンサンブルは次第にテンポを速めていき、緊迫した空気感を高めていく。極限までサウンドを削ぎ落としたシンプルな楽曲でありながら、いや、シンプルだからこそ、細胞レベルで聴き手に訴えかけて未曾有のカタルシスを生んでいくさまは、もう圧巻という他ない。清涼なノイズとビートが乱反射する音の洪水にすっかり身を預けているうちに、30分のステージは早すぎる終わりを迎えてしまった。MCもほとんどない、わずか2曲のアクト。しかし、その透明感あるサウンドは聴く者の五感を覚醒させるに足る圧倒的な力を持っていた。(齋藤美穂)
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