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サウンドチェック時点で「こんばんわー!」とフロアを煽るわ、メンバー紹介を始めちゃうわと、持ち前のフリーダムっぷりを初っ端から全開にしていたSAKEROCK。定刻ピッタリに再びステージに上ると、ライヴ定番曲の"ホニャララ"でキックオフ。おもちゃ箱をひっくり返したようにカラフルなサウンドが、GALAXY STAGE中を駆け巡る。今夜は揃いのステージ衣装はなくメンバー全員がラフな格好。サポートメンバーもなし。というわけで、輪になってアンサンブルを紡いでいくメンバーはリラックスしたオーラを放ちまくっていた。セットリストは12月8日にリリースされたばかりの最新アルバム『MUDA』の楽曲が中心。ゆったりとしたテンポの中で丸みを帯びた旋律が放たれる"URAWA-City"、ダイナミックなホーンの音色で幕を開ける"Green Mockus"、星野源(ギター)の鋭いリフと浜野謙太(トロンボーン)の喘ぐような語りが炸裂する"FUNK"……と、どれもじっくりと耳に沁み入る愛嬌あふれるサウンド。深夜の居酒屋のノリみたいな気負いのないトークが超満員のオーディエンスを前で繰り広げられているところも、最高に愉快。ふとフロアを見わたすと、他のアクトよりもビール片手にくつろぐオーディエンスが多く目に入ったのは決して気のせいではないはずだ。
軽快なリズムの上で浜野のトロンボーンが唸る"WONDER MOON"、父の背中を思わせるように雄大な旋律が届けられる"Goodbye My son"、古きよき時代の黄昏を浮かび上がらせるような"KAGAYAKI"など、哀愁漂うナンバーをしっとりじっくりと解き放った後は、「THE BAWDIESの前にカウントダウンやっちゃうぞ~!」と一足お先にカウントダウンを強行! そのままラスト"MUDA"へと雪崩れ込む。「♪あーあああーあああ」というコーラスと瑞々しいバンド・アンサンブルが駆け抜ける中、フロアに満ちているのは沢山の笑顔、笑顔、笑顔……。好きな音を、好きなように、好きな仲間と鳴らすというSAKEROCKのシンプルなスタンスが、フロア中のオーディエンスを巻き込んでデッカイ幸福を生み出した、素晴らしいクライマックスだった。(齋藤美穂)