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ボーカル/チェロのYukkoがリング状のゴールドの風船を浮かべながらステージに現れ、ひとり歌いだす。他の楽団メンバーも続いて登場、それぞれが金銀に光り輝く風船を手にしている。「ハッピー・ニュー・イヤー!」とキュートな声で挨拶するYukkoの声にオーディエンスからも大きなレスポンスが返されるのだが、メンバーが手にしていた風船が順に並べられると「NOANOWA」というスペルになってぷかぷかとステージの宙に浮いているのである。これは可愛らしいし、楽しい。そんなふうにちょっとした発想で目に見えている景色を夢見るような光景に塗り替えてしまう、のあのわのステージが開幕だ。2010年にリリースされたアルバム『MAGICAL CIRCUS』のオープニング・チューン"lalala-uh-uh-yeah!"でさっそくシンガロングを誘い、"もぐらは鳥になる" や"星が見える日は"では彼女たちの鋭く尖ったロック性を解放してゆく。"スクォンクの涙"の、ラテン・フレイバー漂うリズムとコーラスが含まれるのに、とてもプライベートでエモーショナルな歌になってゆくさまが面白い。

「明けたねー、2011年。皆さん、眠くないですか? 今日のセット・リストをよくよく考えてみたら、ハンド・マイクの曲が多かったんですけど、次の曲はチェロが、切ない気持ちを歌ってくれます」とYukko。一方、nakame(B)は「2011年の、のあのわの抱負をいろいろ考えてみたんですけど、東京であまりライブをやっていなかったんで、今年はどんどんやっていきたいと思います」と告げて、シングル曲の"Sweet Sweet"を披露し始めた。想いをまるで寓話的に綴ってゆくような、夢見心地なんだけどそれによって更に感情表現が深まってゆくさまが素晴らしい。そして壮大なスケール感で鳴らされる最終ナンバー"ネバーランド"まで、まるでMOON STAGEが御伽噺の中に丸ごと放り込まれてしまったような、のあのわのパフォーマンスであった。(小池宏和)