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椿屋四重奏、突然の解散から1年。ソロ・アーティスト中田裕二になってからは、初めてのCOUNTDOWN JAPAN出演である。メンバーは、この間の、ソロになってから初のバンド編成でのツアーと同じ、ギター竹内朋康(Dezille Brothers/FIASCO 3/マボロシ/ex.SUPER BUTTER DOG)、ベース小松秀行(ex.ORIGINAL LOVE、サポート多数)、ドラム小松シゲル(NONA REEVES)、キーボードYANCY(サポート多数。この方は椿屋時代からですね)、という「黒い」プレイを聴かせる面々。曲はすべてソロになって以降のもの。東日本大震災を受けて急遽書き下ろし、配信リリースした“ひかりのまち”を含む、あと11月23日にリリースされたばかりのファースト・フル・アルバム『école de romantisme』からの曲(“リバースのカード”や“ベール”や“endless”)も含む全5曲。
まず2曲をしっとりと聴かせ、最初のMCで「ここからは18禁です(笑)。では新曲を……って、最近デビューしたばかりなんで、全部新曲なんですけど」。つまり、『école de romantisme』に入っていない新しい曲、ということですね。堂々と歌謡曲をルーツに掲げるメロディは椿屋の頃と地続きだけど、ロック的なザクザクした音作りじゃない、ファンク寄りの、ねちっこくてグルーヴィーなサウンド・プロダクトになったのが、ソロとそれ以前のもっとも大きな違いかもしれません。この新曲もそういうテイストでした。エロい、とても。
それからもうひとつ、ソロになって大きく変わったこと。歌詞のメッセージ性のストレートさと、強さだと思う。最後のMCで、「このフェスに出るのは、ソロになって初めてで。久々にここに出られて光栄です、ありがとうございます」とあいさつしたあと、震災のことに触れながら、1年を振り返る中田。3・11によって、人間の美しい部分や強い部分も、醜い部分も弱い部分も浮き彫りになったことなどを話し、「これからは、誰かのせいにするんじゃなくて、誰かのために、っていうことを考えていきたいです。人のために生きていくのが一番いいんじゃないか、ということに、改めて辿り着きました。だから、来年はそういうイメージで前向きにいきたいなと思います」としめくくる。ラスト・チューンは、まさにその言葉のような、やさしさと美しさと強さに満ちていた。(兵庫慎司)