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GALAXY STAGEの次なるアーティストは、阿部真央。NEXT ARTISTを告げる映像がモニターに映し出されるなり、照明が落ちて真っ暗になるGALAXY STAGE。しーんと静まり返る場内に“ふりぃ”のイントロが放たれた途端、ステージの照明がパッとついてバンドの姿が露に! 中央でギターを掻き鳴らしながらパワフルな歌声を響かせる阿部真央は、目の前のオーディエンスに出会えた喜びを噛み締めるかのように、はにかんだ笑顔を覗かせる。続く“give me your love”では、ハンドマイクを握ってステージを右へ左へと駆け回る阿部真央。パンキッシュなブラックドレスをなびかせてアグレッシヴなダンスを披露するその姿に、「カワイー!」「カッコイー!」という声援があちこちから乱れ飛ぶ。その後も、感情の揺れを丹念に綴った楽曲群を渾身のエネルギーで解き放っていく阿部真央の姿に、満場フロアは固唾を呑んで見守ったり、拳を奮い立たせたりしながら大きな一体感を築いていった。ソリッドなギター・サウンドが火を噴いた“モットー。”を経て、「年の瀬ですから年末の挨拶をしたいと思います」と阿部。今年1月に声帯を痛めて6月まで治療に専念していたこと、その間にファンからの応援メッセージや手紙に大いに勇気づけられたこと、それを受けてシンガーとしてのモチヴェーションがさらに高まったこと……など、激動の2011年を振り返っていく。さらに「昨日決心したことがあって」として、「たくさんのコンプレックスを抱えた私みたいな人間でも、一生懸命やっていれば誰かが見てくれて誰かが愛してくれる。だから私のように悩みを抱えている人に、私の歌や生き様を見せることで希望を与えられたらいい」という内容の力強い宣誓がなされる。フロアから自然発生的に沸き起こる温かな拍手。その後鳴らされた“ポーカーフェイス”の、すべての悩める人々を慈しむかのような肯定のメッセージは、幕張メッセの屋根を天上の彼方まで上り詰めていくような荘厳さを持っていた。ラストはキラー・チューン“ロンリー”でハンドクラップを誘って大団円。真っ直ぐな言葉と真っ直ぐなサウンドで切実な思いを曝け出していく剥き身のパフォーマンスに、観ているこちらまで丸裸にされてしまったような、親密なアクトだった。(齋藤美穂)