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4年連続でのCOUNTDOWN JAPAN登場となるplenty。しかし、過去3回と大きく異なるのは、今年7月にドラムス・吉岡が脱退し、江沼(Vo&G)と新田(B)の2人体制になったこと。重大な転換期を経てのステージに注目が集まるなか、サポート・ドラムにVOLA & THE ORIENTAL MACHINE/ex.syrup16gの中畑大樹を迎えたバンドが声援を浴びてステージに入ってくる。フィードバック・ノイズを掻き消すように江沼が荒々しくギターをストロークして、“待ち合わせの途中”からライヴは幕を開けた。エモーショナルでいて緊迫したアンサンブルが、たちどころにオーディエンスの視線と気持ちを釘付けにし、続く“ボクのために歌う吟”の、真夜中の静寂を思わせる最小限のサウンドと気だるくも凛とした江沼のヴォーカルが、さらに切実な訴求力でもって共鳴する。いつ聴いても、何度耳にしても、時空を越えて響くような江沼の歌声には圧倒されてしまう。大げさではなく、驚異的な才能のヴォーカリストだと思う。入場規制のかかりそうなほど満杯となったオーディエンスは身じろぎもせず聴き入っているという状態で、COSMO STAGE場内には前アクト・ザ50回転ズの炎上型爆裂ロケンローとは真逆のカタルシスが生まれている。

ひと息ついて「いやぁ、人が多い」と江沼が手を振れば、フロアにはいくつもの手が上がる。「曲、行きますか? 何かしゃべったほうがいい? じゃあ……」と言葉に詰まった江沼、「ドラムス、中畑さん!」と、メンバー紹介。「今日は31日ですね。どんな年になりましたか?(フロアから「楽しかったー!」の声が)。いいね! じゃあ、次行きます」と言葉をついで、バンドは“空が笑ってる”、最近のライヴで演奏されている新曲と立て続けにプレイ。“枠”の力強いビートに鼓舞されてフロア前方にはいくつもの腕が突き上がり、「楽しかったです! さよなら! みなさん、よいお年を――」(江沼)と言葉少なに別れを告げて、最後に届けられたのは最新シングル“あいという”。無数の疑問符と、たったひとつの答えのようなものを響かせる切なくも澄み切った音像が、すべてを浄化するように反響した。(奥村明裕)