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大晦日のASTRO ARENAでcapsule! 日本中どこを探しても、エレクトロ・サウンドによる、踊りと祭りがこれほどふさわしい状況はないだろう。通常で言うリハ時間の間ステージはひたすら暗く、場内BGMが流れっぱなしだったのはわけがある。アリーナ全体が完全に暗転し、湧き上がる歓声。立ち込める期待感。すると、ステージライト、サウンド、4面に開けた巨大スクリーンが同時に起動し、頭上にミラーボール、DJセットには中田ヤスタカの姿が!すぐさまステージ下手からこしじまとしこが両手をリズムに乗せながら歩みだす。いきなりの“more more more”で幾千も手が上がる。踊るというよりはもはやフロア中が縦に飛んでいる状態だ。続いてエッジーなデジタル・フレーズに「ウォーッ」と大歓声が上がり、capsuleのライヴにおいて「2曲目に来る神」と呼べるかもしれない“FLASH BACK”。
この曲において、4面のスクリーン映像がより威力を発揮し、中田、こしじまの姿は完全にシルエットになり、影となって踊り、揺らぎ、時に手を上げる。それがかえって扇情的。視覚的にどういうことになるかというと、ASTRO ARENAがより本格的な屋内巨大レイヴ会場になるのだ。次の曲に向かうことを告げる明確な四つ打ちの繋ぎから“Starry Sky”へ。ここでは再びメンバーの姿がライトに浮かび上がり、こしじまがよく通る声で叫ぶ「こんばんは! capsuleです! COUNTDOWN 11/12へようこそ。今日は楽しんでってねーっ!」これは挨拶というより、音楽の中で煽りとして響き、かっこいい。よくクラブDJが一番いいタイミングで叫ぶ時ありますよね。あの感じ。続く“WORLD OF FANTASY”は、基調となるトーンがクールな分、曲の中でのアップダウンが激しく、随所で極端に攻めてくるエフェクトが興奮を誘う。ビートに対する上もののテンポ感が独特なので、不思議な快感に支配される曲でもある。最後に“Hello”“Sugarless GiRL”と、capsuleにとってポップソング方向へ舵を切り、いい曲いい歌をきらびやかに伝える。いったん究極のレイヴまで振り切ってから、オーディエンスをロック・フェスに帰して去っていく感じが、心憎かった。(斉藤知太)