暗転した瞬間に食い気味に大歓声が上がった期待値MAXのASTRO ARENAに登場したのは、中田ヤスタカとこしじまとしこによるユニットcapsule。1曲目は“more more more”。極めて即効性の高い享楽的なトラックでいきなりガンガンにアゲてくれる。2曲目は“WORLD OF FANTASY”。つんざくような低音に腰を動かされながらも、こしじまのヴォーカルが乗るとリズムの重みを上回る開放感が広がり、気分がどんどんアップリフトされていく。この関係性は流石と言うほかない。
「今日は天気が悪いのによくここまで辿り着けましたね!」というこしじまのMCが曲間に挟まれ、“Stay with You”が始まるころには、何だか会場全体の温度が上がっているような感覚を覚えた。最初から凄まじかった熱気が、天井なしに上がり続けているのである。
それにしても、どの曲も始まってからフロアへの着火がとんでもなく早い。アンセムを沢山抱えているということもあるだろうが、根本的な部分で中田ヤスタカの音楽には、果てしない反復により永遠を一夜に封じ込めるダンス・ミュージックのそれよりも、今この瞬間の興奮に全てを賭けようとするポップ/ロックに近いアティテュードが色濃いように思う。ロック・フェスにおいて100%ホームで横綱相撲を展開するかのようなこの光景には、そういったところも少なからず影響しているのかもしれない。
“JUMPER”ではあの必殺のコーラスに合わせて、すでに沸騰中のフロアをこしじまが手を振って煽る煽る。まるで容赦ナシ。この徹底したサービス精神もまた彼らの流儀だ。続いて「ASTROまだまだ行くよー!!」というシャウトから始まったのは“Starry Sky”。色とりどりの星が舞う映像が実に綺麗で、フロアからも感動の溜め息まじりの歓声が上がる。
セットのラストに選ばれたのは“Sugarless GiRL”。加工されたヴォーカルが歌う甘いメロディの官能性に蕩けながらも、猛るリズムがそれだけに没頭することを許さない。ひたすらに踊って踊って踊り狂って、およそ35分が一瞬に感じられるようなアクトだった。(長瀬昇)
CAPSULE のCOUNTDOWN JAPANクイックレポートアーカイブ