みんなの大きな手拍子に迎えられ、まずは福岡晃子が登場。タンバリンでリズムを取りながら、そのままドラムセットへ向かい、ビートを刻み始めた。すると逆サイドから橋本絵莉子がタンバリンを持って登場し、ギターをかき鳴らし始め、そのまま“コンビニエンスハネムーン”へ。《よくぞここまでたどり着いた》という渾身のフレーズが、大きな祝福の言葉として、EARTH STAGEに響き渡る！
「こんにちは、チャットモンチーです！」と橋本。「今日はチャットモンチーのライヴ納めなので楽しんで行きたいと思います」と福岡。その後も最早２人だけで鳴らしているとは思えないダイナミズムを生み出しながら演奏を聴かせてくれる。曲ごとに福岡がキーボード、橋本がドラムという編成もあったりして目が離せない。
中盤、“恋愛スピリッツ”の冒頭ではギターの音をループさせた橋本がハンドマイクでステージ前方をゆっくりと歩きながらオーディエンスにしっかりと歌いかけた。二人になって彼女たちの音楽はよりユーモアと鋭さを同時に増している。無駄な音など何ひとつない、だからこそダイレクトに伝わる想いが、とめどなく心を打つ。これが2012年、彼女たちが手にした変幻自在でユニークなチャットモンチーのパフォーマンスなのだ。
“余談”のイントロでは最初だけギターを奏でてリフをループさせたらドラムセットの前でマイクを手にする橋本。左手にマイク、右手でスティックを力強く振りながら懸命に歌う様がかっこいい。「今年は前の曲をめっちゃ練習したな」と福岡。「いっぱい工夫したね」と橋本。「でも何事においてもまずは工夫ですよね」と続けた橋本の言葉がオーディエンスを和やかに笑わせた。
ラストの“きらきらひかれ”の前に「みなさん今年はありがとうございました。良いお年を！」と橋本。ドラムの福岡、ギターの橋本が向かい合うように全力でイントロを奏でると、凄まじいエネルギーがEARTH STAGEに充満した。新たな形、新たな音楽を完全に自分たちのものにした今年のチャットモンチー。にこやかな笑顔でステージを去った。（上野三樹）
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