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今月、二人体制になってから初めてのツアーを終えたばかりだけに、今のチャットモンチーを目撃していない人も多いだろう(私も)。期待度はハンパじゃないみたいで、ぞくぞく人が集まってくる。SEが流れだすと、上手から福岡晃子、下手から橋本絵莉子が現れ、手を振ったりしてご挨拶。そしてセンターで握手を交わし、クルッと場所を入れ替えると、福岡は下手のドラムセットに座り、橋本は上手でギターを抱える。はじまったのはいきなり新曲! でも、体制は変われど、チャットモンチーはチャットモンチーであり、すこぶるポップじゃないか! それじゃあ既存の楽曲はどうなんだろう!?と思っていたら、“女子たちに明日はない”、“バスロマンス”と続いていく。元々のよさは失われていないし、寧ろ興味深いアンサンブルにぐいぐい引き込まれてしまった。来年2月8日にリリースされるシングル“テルマエ・ロマン”では、ドラムを叩きながらシンセを操る福岡の姿が逞しい。

しかし、紛れもなく、今までの不変のトライアングルとは違う、ステージ上の二人チャットモンチーに戸惑っているオーディエンスもちらほら。そんな様子に福岡晃子は「わかるよ、そういう、どうしようっていう反応も。新曲ばっかりだもんね。でも、やりたいんで」と、しっかり気持ちを伝える。そしてはじまった新曲は、何とギターレス。アンサンブルこそ面白いんだけど、耳にすっと入ってくる。新曲によって、どんどん二人のポテンシャルがこじ開けられていくようだ。次にしっとりと“世界が終わる夜に”を終えると、“東京ハチミツオーケストラ”へ。曲中で橋本絵莉子がシンガロングを求めると、福岡晃子が立ち上がって、指揮棒のようにスティックを振りながら前まで出てくる場面も。さらに、福岡晃子が「新体制の一番最初に出すシングル聴いて下さい。絵莉子、踊ります!」と紹介した“満月に吠えろ”では、さっそく橋本絵莉子と同じ振りをしているオーディエンスもいた。ラストナンバーも新曲。福岡晃子が立ってドラムを叩き、橋本絵莉子がハンドマイクでステージを端から端まで歩きながら歌い、ハープを吹き、バスドラを叩く。それはまるで、この二人でやっていくという宣言のように映った。終盤には橋本絵莉子が「今年もお世話になりました。来年も、よろしくお願いします!」と叫び、曲を終えて二人で肩を組んでお辞儀。そして仲良くステージを降りて行った。(高橋美穂)