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COUNTDOWN JAPAN 12/13 クイックレポート



「COUNTDOWN JAPAN 12/13」は折り返し地点に到達し、3日目MOON STAGEのトップバッターを務めるのは清 竜人である。早々に集まったオーディエンスの拍手に包まれて姿を見せると、椅子に腰掛けてアコースティック・ギターを抱え、まずは優しく穏やかな調べのデビュー・シングル曲“Morning Sun”を英語詞で披露する。ゆっくりとフロアの隅々まで行き届いてゆく歌声が心地よい。続いて“ヘルプミーヘルプミーヘルプミー”の、若く閉じた心持ちが音楽を通して解放されてゆくさまを描き出し、ピアノに向かっては指先にエモーションが込められたタッチで引き裂かれんばかりの心情を歌い上げる“痛いよ”と、デビュー以後のシングル曲群をフィーチャーした「丸裸の清 竜人のうた」が極まってゆくステージである。たった一人で無数のオーディエンスの視線と意識を引き受けてしまう、彼の類稀な表現力が発揮されている。そして《あぁ なぜ ぼくは あなたを 選んだんだろう?》と、たったふたりの関係性を探る思考が世界のすべてを埋め尽くしてしまうような感触で切々と綴られる“ボーイ・アンド・ガール・ラヴ・ソング”へ。辿り着いた最終ナンバーは再びギター弾き語りスタイルの“ぼくはロリータ・コンプレックス”という、性癖と社会の関わりを鋭く抉ってゆく凄まじい歌だ。

2012年の彼はサブカル言語やミュージカルのスタイルを取り入れながら新しい「歌」の形を描く野心的なアルバム『MUSIC』も素晴らしかったが、人にとっての歌とはなんなのかを探求しつつ進化する清 竜人の才能はやはり破格で、しかも未知数だ。最後に、来る5枚目の最新アルバム『KIYOSHI RYUJIN』は全国ツアーのチケットとセット販売で、本日からオフィシャルHPでのみ入手できることをオーディエンスに告げて、彼はステージを去っていった。(小池宏和)