点滅するライトの中、静かに現れた4人が1曲目、“MirrorDance”を奏で始める。イントロが鳴るのと同時にステージから差す光を求めるように観客たちは手を伸ばし、そしてサビに入る瞬間にGALAXY STAGE全体がダンス・フロアに変わる。初っ端から必殺の展開で、最高のオープニングだ。2曲目は“AM0:40”。速いBPMに乗る内澤のファルセットがなんともユーフォリックな印象を残す。「祈り」や「願い」をそのまま音にしたかのような声。続いて、息つく間もなく“ShowWindow”が畳みかけられる。獰猛なベースのグルーヴに牽引され、危うくトリップしそうになる場所にまで脳みそを連れて行かれる。
4曲目は“Message”。やはりこの曲も凄まじい。超絶キャッチーな歌メロの後ろで、各楽器がまるで好き勝手に凄まじい情報量を孕んだ演奏をしているように思えるのに、何故か全体像はたしかに「andropのロック」として整合感を持っている。「とにかく、この沢山の人を目の前にして、音楽の力があれば世界を、世の中を変えられるんじゃないかなと思います。そんな、音楽の力を信じて出来た曲です」という内澤からの紹介を経て鳴らされたのは“Rainbows”。光の中で少しずつ終わり=始まりに向け上昇していくような曲展開がひどく胸を打つ。それにしても、4次元にまでくみ上げられたようなこの曲が目の前で、バンド・メンバーの人力によって現出されると、改めて震えるような興奮を覚えざるを得ない。
上記のMCがそのまま物語るように、andropはまず音楽ありきというスタンスで活動してきた。その姿勢は、当然のことながら、今日のライヴでも貫かれている。圧倒的なクオリティを誇るサウンドスケープと、その内なる大きな世界を届けるためのメロディ――“Boohoo” “Roots”といった後半に演奏された楽曲は、そんなandropの魅力を端的に伝えてくれる。そして、セットのラストは“World.Words.Lights.”。ステージから放出される緑のレーザーがこの日のライヴのクライマックスを演出し、なんとも美しい光景が広がる。この曲の≪消えそうな 光は 愛と言う 愛と言うライト≫というフレーズが歌われたとき、andropの理想と観客の音楽への愛がすっと繋がるのを見たような気がした。(長瀬昇)
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