「パンク・ロック！　パンク・ロック！　パンク・ロック！」という歓声が地鳴りのごとくステージを揺らす中、“Ricky Punks”で幕を開けたKen Yokoyama。間髪入れずに繰り出されるハイ・スピードでハイ・テンションな曲に身を任せて、ぐいぐいとテンションを上げていくオーディエンス。あっという間にGRASS STAGEがKen Bandのホームのような空間に変わっていく。どれだけデカいステージでも、こんなにも多様な音楽が鳴らされるフェスという場所であっても、Ken YokoyamaはKen Yokoyamaとしてのステージを作り上げ、全うする。そして、その場にいる全ての人々の心を鮮やかに掻っ攫っていく。Kenの「このメンツで、今年アルバム作るよ」というファン感激の宣言の後に、新曲が披露された。曰く「超パワーバラード」とのことだが、文字通りパワフルで、ちょっとパワフルすぎるんじゃないかというくらいのシャウトがアツくて、拳を突き上げつつも思わず顔がほころぶ。そして後半。オーディエンスを狂喜乱舞させた“Stay Gold”の後、「思いっきり暴れてくれ」という言葉に続いて演奏された“Running On The Winding Road”“How Many More Times”“Believer”という鉄板の名曲の数々はいつになく重厚で、メロディアスで、心に刺さった。万感の思いで駆け抜けた、無敵のパンク・ロック。この観る者を圧倒しまくるステージングこそが、Ken Yokoyamaなのである。（林敦子）