今年で10年目を迎える本フェスですが、皆勤賞であるアーティストのひとり目である奥田民生さんは「ROCK IN JAPANの守り神」という、まあ、本人にとっちゃありがた迷惑な呼び名で呼ばれることもあるお方。記念すべき10年目の今回は、歌力むき出しの「ひとり股旅」で参戦してくださるということで、感謝と尊敬の念を込めて敬語でレポートさせていただきます。アコギ１本の弾き語り形式である「ひとり股旅」は民生がその場で曲を決めるため、彼の気分や会場の雰囲気でセットリストが左右されるわけです。ということで、どの曲をどんなふうにやったのか気になるあなたのために、以下、実況させていただきます！ 譜面を持っておごそかに登場し、深々とおじぎする民生にオーディエンスは大歓声。キーボードのボタンをスイッチオンし、おなじみのテーマソングが流れる。お酒を一口飲んで、ウルフルズ“いい女”から１フレーズ。「お金より〜♪」と歌い、「あっちのステージではウルフルズが活動休止のライブをやるようで。このあと駆け付けても間に合うかわからないので、気分を味わってもらうためにちょっとやりました（笑）」。そして、いきなりの“イージュー★ライダー”で会場を盛り上げてから、「車より〜♪」とまたまたウルフルズ“いい女”（１フレーズ）。“愛のボート”のあとは、チューニングしながら「まず、ひとりが久しぶりなものですから、ソロの曲がなかなか思い出せない（笑）。すいません今年はいろいろお世話になりまして。おかげでウルフルズが解散することになりましたけども……ってさっき（メンバーに）言ったら、『解散じゃねえ！』って言われまして（笑）」とユニコーンの話をはさみつつ、“たったった”で「真の姿はうたってない」と歌い、民生の楽曲の中ではレアな正統派ラブソング“The STANDARD”を響かせる。徐々に空が暗くなっていく中、くるりの“ばらの花”。カバーが聴けるのも「ひとり股旅」醍醐味ということで、次こそ真剣にウルフルズの“いい女”。時間がなくて１番だけだったけど、完璧に最高。「さっきトータスに『やってくるから』って言ってきたので、これでたぶん大丈夫だと思う」と笑う。“CUSTOM” のあとは、「初日ですけれども、最後まで楽しんでいってください。毎年呼んでいただいて、ありがたく思っております。ほんとですよ？　ではまた来週（笑）」と、伝家の宝刀“さすらい”で大団円。最後はピースで去っていかれました。これぞ「ひとり股旅」、しみじみいい曲だけの贅沢な空間がそこにはありました。ユニコーン復活によってひとまわり大きくなったような、いや全然変わっていないような、まあどっちにしても素晴らしい音楽を届けてくださってありがとうございました。いや〜、音楽ってほんっとに楽しいですね。（上田智子）